虹色のバラが咲く場所は
170話 巣立ち
「というか、父さんは?」
「今の時期、忙しくて休日出勤」
「ふーん」
(父さんの事はまた後で考えるか)
「ねえ、蓮くん。
今日、泊まっていかない?」
「はい?」
「部屋は空いてるし、寝巻きもあるし
どうかな?」
かよさんの提案に俺は迷わなかった
「すみませんが、お断りします。
明日の予定を狂わせるわけには行かないので。それに俺を心配してくれる仲間が待ってますから」
(ダメだ、嬉しくて頬が緩みそう)
「さっきからずっと振動してたよね」
「うん、ちょっとしつこかったから
電源切っちゃったけどね」
「明日の予定って?
あ、言いたくなかったら言わなくて
いいの。プライベートはあるものね」
(これはたまきさんから歩み寄っていると解釈していいのか?)
「えっと、たしか・・・!」
スマホの電源をつけると、みんなからのメールが4通。千鶴さんと七瀬さんが1通
ずつ。あとはSNSの通知だ。
(異様にうるさかったのはこれか)
帰りの電車の中で読もうと
SNSは開かなかった。
「明日はインタビューとラジオの収録。そろそろオリジナル曲考えないと。
やる事は多いかな。あ、雪希の勉強
教えてって言われてるんだった。」
「忙しいね、お兄ちゃん」
「まぁ、Ranswer Roseが人気って
事だからね」
「体、こわさないでよ」
「だ、大丈夫だよ。
心配しないで」
※前科あり
「Rainbow Roseってグループなの?」
「え、うん。それなりに活動してたんだけど知らない?仕方ないよね。
俺のやることなんて興味なかった
でしょ?無理に知ろうと
しなくていいよ」
たまきさんに向けて寂しげな表情と
消えそうな声でいうと、
「お兄ちゃん、私、これからもっと
お兄ちゃんの活動を知りたい。
だから、教えて。」
「え、うん」
(たまきさんの良心を咎めさせようと
したんだけどな。別方向が咎めたか)
たまきさんは唇を噛み、悔しそうな
顔をしていた。
「そういえば、茉里。
こっちにきて受験って言ってたけど
どこ受けるの?」
「梅原、かスミレ女子高かな」
(梅原だったら、雪希と同じか)
「え、茉里、
そっちに行っちゃうの?!」
「言ってなかったの?」
「うん、まだ先でいいかなって。
進路希望調査票もまだもらってないし
その時にするつもりだったんだ」
「それじゃあ、一人暮らし?」
「うーん、そうなるかな」
茉里はたまきさんをじっと見つめる。
「うっ、本当は嫌だけど
巣立ちだものね。嫌だけど」
たまきさんは渋々だが了承した。
約1時間後
「さて、そろそろ帰ろうかな」
「まだゆっくりしてけばいいのに」
かよさんは寂しそうだ。
「また時間できたら来るよ」
かよさんはビニールの袋に和菓子をこれでもかと入れて渡してくれた。
「ありがとうございます」
門を出てしばらく歩き、電車に乗る。
(なんであんなに騒いでるんだろう)
SNSを開いてみると、
俺と茉里がカフェにいる写真が載せられていた。しかもかなり拡散されている。
茉里は全体的にモザイクがかかって
いる。
(まぁこれは救いだな。
茉里は一般人だし。
でも巻き込んだことに変わらないし
どうしたものかな)
それと、チラチラと視線を感じたが
気づかない振りをした。
(きっと厄介なことになるだろうな)
家に帰ると、
3人とも揃っていた。
「おかえり、蓮」
「ただいま?」
珍しく空気がどんよりとしている。
「プライベートをとやかくいうつもり
はないけどカフェにいたの誰?」
「直球だな、類。
妹だよ、妹。」
そういうと、類は驚いていた。
(生きていたことに対して、だよね)
「今の時期、忙しくて休日出勤」
「ふーん」
(父さんの事はまた後で考えるか)
「ねえ、蓮くん。
今日、泊まっていかない?」
「はい?」
「部屋は空いてるし、寝巻きもあるし
どうかな?」
かよさんの提案に俺は迷わなかった
「すみませんが、お断りします。
明日の予定を狂わせるわけには行かないので。それに俺を心配してくれる仲間が待ってますから」
(ダメだ、嬉しくて頬が緩みそう)
「さっきからずっと振動してたよね」
「うん、ちょっとしつこかったから
電源切っちゃったけどね」
「明日の予定って?
あ、言いたくなかったら言わなくて
いいの。プライベートはあるものね」
(これはたまきさんから歩み寄っていると解釈していいのか?)
「えっと、たしか・・・!」
スマホの電源をつけると、みんなからのメールが4通。千鶴さんと七瀬さんが1通
ずつ。あとはSNSの通知だ。
(異様にうるさかったのはこれか)
帰りの電車の中で読もうと
SNSは開かなかった。
「明日はインタビューとラジオの収録。そろそろオリジナル曲考えないと。
やる事は多いかな。あ、雪希の勉強
教えてって言われてるんだった。」
「忙しいね、お兄ちゃん」
「まぁ、Ranswer Roseが人気って
事だからね」
「体、こわさないでよ」
「だ、大丈夫だよ。
心配しないで」
※前科あり
「Rainbow Roseってグループなの?」
「え、うん。それなりに活動してたんだけど知らない?仕方ないよね。
俺のやることなんて興味なかった
でしょ?無理に知ろうと
しなくていいよ」
たまきさんに向けて寂しげな表情と
消えそうな声でいうと、
「お兄ちゃん、私、これからもっと
お兄ちゃんの活動を知りたい。
だから、教えて。」
「え、うん」
(たまきさんの良心を咎めさせようと
したんだけどな。別方向が咎めたか)
たまきさんは唇を噛み、悔しそうな
顔をしていた。
「そういえば、茉里。
こっちにきて受験って言ってたけど
どこ受けるの?」
「梅原、かスミレ女子高かな」
(梅原だったら、雪希と同じか)
「え、茉里、
そっちに行っちゃうの?!」
「言ってなかったの?」
「うん、まだ先でいいかなって。
進路希望調査票もまだもらってないし
その時にするつもりだったんだ」
「それじゃあ、一人暮らし?」
「うーん、そうなるかな」
茉里はたまきさんをじっと見つめる。
「うっ、本当は嫌だけど
巣立ちだものね。嫌だけど」
たまきさんは渋々だが了承した。
約1時間後
「さて、そろそろ帰ろうかな」
「まだゆっくりしてけばいいのに」
かよさんは寂しそうだ。
「また時間できたら来るよ」
かよさんはビニールの袋に和菓子をこれでもかと入れて渡してくれた。
「ありがとうございます」
門を出てしばらく歩き、電車に乗る。
(なんであんなに騒いでるんだろう)
SNSを開いてみると、
俺と茉里がカフェにいる写真が載せられていた。しかもかなり拡散されている。
茉里は全体的にモザイクがかかって
いる。
(まぁこれは救いだな。
茉里は一般人だし。
でも巻き込んだことに変わらないし
どうしたものかな)
それと、チラチラと視線を感じたが
気づかない振りをした。
(きっと厄介なことになるだろうな)
家に帰ると、
3人とも揃っていた。
「おかえり、蓮」
「ただいま?」
珍しく空気がどんよりとしている。
「プライベートをとやかくいうつもり
はないけどカフェにいたの誰?」
「直球だな、類。
妹だよ、妹。」
そういうと、類は驚いていた。
(生きていたことに対して、だよね)