虹色のバラが咲く場所は
172話 核心
「へ?・・・
知ってたんですか?」
「うん、
まぁ舞ちゃん自身何も言わなかったから黙ってただけで、知ってたんだよ。
天宮翔さんとの関係」
ニコリと笑った七瀬さんだが
私の思考は追いつかない。
「ど、どのあたりで?」
「どのあたり、
・・・オーディションかな。」
「最初からじゃないですか!」
「まぁね。私の友達がSTEPの
所属する事務所の社長でね、
1人だけ芸名で活動したいって申し出た子がいるって友達から聞いた事、
覚えてたんだよ。日比谷翔さん」
(世間は狭いって本当だな)
「あの、そのことを誰かに
話しましたか?」
「え?いや。話してないよ。
外にもれたら彼が芸名にした意味が
ないからね」
(じゃあ、なんで杏奈さん達は)
「レッスンを始めた頃、
私が妹だって噂を聞いたんです。
直接確認はされなかったんですけど」
杏奈さん達が知っていたことが怖くて
自然に頭が下がり視線が左下の方に動く
「あ、多分だけどその頃、千鶴が
久しぶりに事務所に来たんだよ。
息抜きに。その時に
翔さんのことを少し話してね、
もちろん関係性とかじゃないよ。
でもその後すぐに、千鶴の妹さんの
話になって。
その時誰かが通りかかって
翔さんの妹の話になって、
尾鰭がついて、舞ちゃんになったん
じゃないかな」
(恐ろしい偶然と信憑性)
「そうだったんですね。
すみませんでした。私事で、
こんな時間に。」
「いや、気にしなくていいよ。
たしかに蓮くんのことで
心配になるよね。」
七瀬さんは微笑んだ。
(穏やかな人だな。あの時も思ったけど
七瀬さんって人の気持ちに敏感なのかも
しれない)
その後、私は車で送ってもらい家に
帰った。
「ありがとうございました」
車を降りるとゆっくりと走り出し
私は少し見送ってから中に入った。
「おかえり、舞」
「ただいま、類」
すぐに類と視線が合う。
「話してきたの?」
「うん。
七瀬さんは知ってたみたいであんまり
驚いてなかったよ」
「そっか。
あのさ、七瀬さんに話してて
思い出したんだ。翔がデビューした時にはもう天宮翔だったって。
ねぇ、なんで類は翔の本名、日比谷翔
だって知ってたの?
もしかしてそれ以前に翔と面識が
あったりする?」
時間が止まったような感覚、
(核心に触れちゃったかな)
類は穏やかに笑っていたが
影があるのがわかる。
「まだ」
「まだ?」
「舞にはまだ早いかな」
(やっぱりなにか)
「なんてね、言ってみただけだよ。
そんな昔のこと忘れちゃった」
タイミングがいいのか悪いのか、
やかんのお湯が沸いて、高音が響く。
そして類は離れた。
「そうだよね、急に持ち出されても
困るよね。ごめん、なんか焦っちゃったのかも。着替えてくるね」
(あまり深く考えないようにしよう。
きっと類は関係ないんだよ)
自己完結して階段を登り部屋に入る。
コンロを止めてポットにお湯を移す。
正直焦った。
(ごめんね、まだ舞に知られるわけには
いかないんだ)
お湯が跳ねて、少し服にかかった。
「あつ、」
やかんを置いてエプロンを少し仰ぐ。
(あの人から駒を進めるまで
俺は何もしないって決めたんだ)
知ってたんですか?」
「うん、
まぁ舞ちゃん自身何も言わなかったから黙ってただけで、知ってたんだよ。
天宮翔さんとの関係」
ニコリと笑った七瀬さんだが
私の思考は追いつかない。
「ど、どのあたりで?」
「どのあたり、
・・・オーディションかな。」
「最初からじゃないですか!」
「まぁね。私の友達がSTEPの
所属する事務所の社長でね、
1人だけ芸名で活動したいって申し出た子がいるって友達から聞いた事、
覚えてたんだよ。日比谷翔さん」
(世間は狭いって本当だな)
「あの、そのことを誰かに
話しましたか?」
「え?いや。話してないよ。
外にもれたら彼が芸名にした意味が
ないからね」
(じゃあ、なんで杏奈さん達は)
「レッスンを始めた頃、
私が妹だって噂を聞いたんです。
直接確認はされなかったんですけど」
杏奈さん達が知っていたことが怖くて
自然に頭が下がり視線が左下の方に動く
「あ、多分だけどその頃、千鶴が
久しぶりに事務所に来たんだよ。
息抜きに。その時に
翔さんのことを少し話してね、
もちろん関係性とかじゃないよ。
でもその後すぐに、千鶴の妹さんの
話になって。
その時誰かが通りかかって
翔さんの妹の話になって、
尾鰭がついて、舞ちゃんになったん
じゃないかな」
(恐ろしい偶然と信憑性)
「そうだったんですね。
すみませんでした。私事で、
こんな時間に。」
「いや、気にしなくていいよ。
たしかに蓮くんのことで
心配になるよね。」
七瀬さんは微笑んだ。
(穏やかな人だな。あの時も思ったけど
七瀬さんって人の気持ちに敏感なのかも
しれない)
その後、私は車で送ってもらい家に
帰った。
「ありがとうございました」
車を降りるとゆっくりと走り出し
私は少し見送ってから中に入った。
「おかえり、舞」
「ただいま、類」
すぐに類と視線が合う。
「話してきたの?」
「うん。
七瀬さんは知ってたみたいであんまり
驚いてなかったよ」
「そっか。
あのさ、七瀬さんに話してて
思い出したんだ。翔がデビューした時にはもう天宮翔だったって。
ねぇ、なんで類は翔の本名、日比谷翔
だって知ってたの?
もしかしてそれ以前に翔と面識が
あったりする?」
時間が止まったような感覚、
(核心に触れちゃったかな)
類は穏やかに笑っていたが
影があるのがわかる。
「まだ」
「まだ?」
「舞にはまだ早いかな」
(やっぱりなにか)
「なんてね、言ってみただけだよ。
そんな昔のこと忘れちゃった」
タイミングがいいのか悪いのか、
やかんのお湯が沸いて、高音が響く。
そして類は離れた。
「そうだよね、急に持ち出されても
困るよね。ごめん、なんか焦っちゃったのかも。着替えてくるね」
(あまり深く考えないようにしよう。
きっと類は関係ないんだよ)
自己完結して階段を登り部屋に入る。
コンロを止めてポットにお湯を移す。
正直焦った。
(ごめんね、まだ舞に知られるわけには
いかないんだ)
お湯が跳ねて、少し服にかかった。
「あつ、」
やかんを置いてエプロンを少し仰ぐ。
(あの人から駒を進めるまで
俺は何もしないって決めたんだ)