虹色のバラが咲く場所は
209話 期末テスト
それから数日、舞から何かを言われる度に身構えたが
「ごめんね類、あんなこと言って。
特に深い意味はないんだ」
と昨日言われて安心している自分が
いる。
「さて、今度は期末テスト。
頑張るよ」
それぞれ学力向上を目指して、
仕事や寝る前、休みの日に教えあった。
廊下の期末テストの結果表をみて僕は
絶句した。
頑張るよ、そう類は言ったのに類の
名前がない。
1位どころか10位以内のどこにも蒼葉類と書いてなかった。
「嘘だろ、あの蒼葉が」
「類くん、どうしちゃったの?」
この結果表で、2年生はパニックに
なっていた。
(当たり前だ、首席がどこにもいないんだ。誰だって同じ反応になる)
昼休み、見せてもらった成績表に
書いてあったのは
「38位と180位。クラス、学年共に
最下位。類、どうしちゃったの?
こんな結果」
類は俯いてなにも言わない。
蓮と舞も黙っている。
「る、」
「ごめん、雪希。ちょっと
黙ってくれる?」
静かに類に言われて黙るしかない。
(しくじった。あの時、誰もいないと
思ってたのに。あの顔は生徒指導室
を出た時にいた女子生徒)
ー数日前ー
「蒼葉先輩、少しいいですか?」
放課後、2年の教室前で待っていた彼女に捕まり、生徒指導へ。
「あの時の、えっと」
「1年の麻倉 陽です」
(あさくら?)
「もしかして、麻倉 拓実の?」
「はい、妹です」
(あー、なんかどことなく面影が
あるような)
「拓実くんの妹がなんのようかな?」
「今度の期末テストの首席を兄に
譲ってれませんか?」
(真剣な顔でなに言ってるんだろう?
普通に無理でしょ。こっちにもイメージが懸かってるんだよ)
「えっと、」
後の言葉が見つからず言い淀んでいると
「兄はずっと1位を目指しています。
それでもあなたに勝てなくて、
一度、倒れたんです。食事の時間を
削ってまで机に向かっていたから。
もう一度倒れたら今度こそタダじゃ
済みません。お願いします」
(よく言えば、兄思い。
悪く言えば自分勝手、かな)
「麻倉がなんでそこまで1位にこだわっているか知らないけどそれは
できない。こっちだって真剣なんだ。
手を抜くことはしないしする
つもりもない。この話は終わり」
時間の無駄だから切り上げて教室に
戻ろうとした、が
「断れるのは最初からわかってました。でもこちらには切り札があるんです」
「切り札?」
(意味がわからない)
顰めっ面になったが妹は
口角を上げている。
「日比谷先輩、」
「え、」
「日比谷先輩とは特別な関係があるんですね。それを日比谷先輩は知らない」
「それをどこで、」
「塾の帰りに、蒼葉先輩と高坂先輩が
話してるところを見たんです」
(どこかで余裕そう)
「もしかしてそれ、脅し?」
「はい、脅しです。日比谷先輩に
知られたくないんでしょ?」
(俺以外の人物から真実なんて
聞かれたくない)
「・・・わかったよ。乗ってあげるよ。その脅し」
(中間ならまだしも決まっで期末で
仕掛けてくるか)
俺は全ての教科の解答用紙を白紙で
提出。
ただ問題の答えは全て分かっていた。
「ごめんね類、あんなこと言って。
特に深い意味はないんだ」
と昨日言われて安心している自分が
いる。
「さて、今度は期末テスト。
頑張るよ」
それぞれ学力向上を目指して、
仕事や寝る前、休みの日に教えあった。
廊下の期末テストの結果表をみて僕は
絶句した。
頑張るよ、そう類は言ったのに類の
名前がない。
1位どころか10位以内のどこにも蒼葉類と書いてなかった。
「嘘だろ、あの蒼葉が」
「類くん、どうしちゃったの?」
この結果表で、2年生はパニックに
なっていた。
(当たり前だ、首席がどこにもいないんだ。誰だって同じ反応になる)
昼休み、見せてもらった成績表に
書いてあったのは
「38位と180位。クラス、学年共に
最下位。類、どうしちゃったの?
こんな結果」
類は俯いてなにも言わない。
蓮と舞も黙っている。
「る、」
「ごめん、雪希。ちょっと
黙ってくれる?」
静かに類に言われて黙るしかない。
(しくじった。あの時、誰もいないと
思ってたのに。あの顔は生徒指導室
を出た時にいた女子生徒)
ー数日前ー
「蒼葉先輩、少しいいですか?」
放課後、2年の教室前で待っていた彼女に捕まり、生徒指導へ。
「あの時の、えっと」
「1年の麻倉 陽です」
(あさくら?)
「もしかして、麻倉 拓実の?」
「はい、妹です」
(あー、なんかどことなく面影が
あるような)
「拓実くんの妹がなんのようかな?」
「今度の期末テストの首席を兄に
譲ってれませんか?」
(真剣な顔でなに言ってるんだろう?
普通に無理でしょ。こっちにもイメージが懸かってるんだよ)
「えっと、」
後の言葉が見つからず言い淀んでいると
「兄はずっと1位を目指しています。
それでもあなたに勝てなくて、
一度、倒れたんです。食事の時間を
削ってまで机に向かっていたから。
もう一度倒れたら今度こそタダじゃ
済みません。お願いします」
(よく言えば、兄思い。
悪く言えば自分勝手、かな)
「麻倉がなんでそこまで1位にこだわっているか知らないけどそれは
できない。こっちだって真剣なんだ。
手を抜くことはしないしする
つもりもない。この話は終わり」
時間の無駄だから切り上げて教室に
戻ろうとした、が
「断れるのは最初からわかってました。でもこちらには切り札があるんです」
「切り札?」
(意味がわからない)
顰めっ面になったが妹は
口角を上げている。
「日比谷先輩、」
「え、」
「日比谷先輩とは特別な関係があるんですね。それを日比谷先輩は知らない」
「それをどこで、」
「塾の帰りに、蒼葉先輩と高坂先輩が
話してるところを見たんです」
(どこかで余裕そう)
「もしかしてそれ、脅し?」
「はい、脅しです。日比谷先輩に
知られたくないんでしょ?」
(俺以外の人物から真実なんて
聞かれたくない)
「・・・わかったよ。乗ってあげるよ。その脅し」
(中間ならまだしも決まっで期末で
仕掛けてくるか)
俺は全ての教科の解答用紙を白紙で
提出。
ただ問題の答えは全て分かっていた。