虹色のバラが咲く場所は

220話 デザイン画

「ワンマンライブですか?」
千鶴さんに連れられて
いつもの部屋で七瀬さんから聞かされたのはワンマンライブについて。

「なんだかんだ今までやって
なかったしね」
「ワンマンライブってニ、三時間
やるんですよね」
「いや、その一つのグループが
MCとかも全部自分たちでやることで
あって時間に決まりはないんだよ。
1時間だったり2時間半だったり」
「そうなんですか」
(調べたつもりだったけど爪が
甘かったな、私)

「それに伴ってグッズも作ろうと
思っています」
「「「「グッズ?!」」」」
「はい、Tシャツにオリジナルの
ペンライト、ロゴの入った缶バッジ
などを考えています。」
「それでいつにする予定なんですか?」
類の問いに七瀬さんは迷いなく答えた。

「年末、クリスマス前を考えて話を
進めてるんだ。来週に公式サイトで
発表する予定。
それからこれ見てくれる?」

視線で促された千鶴さんが見せてくれたパソコンには
「Rainbow Roseに着てもらい隊?
なんですか?これ」
パソコンの真正面にいた類はマウスで
スクロールする。

「あなたの書いたデザイン画が
選ばれるかも。」
「どのメンバーに着てほしいか
も書いてね」
雪希と蓮は丸文字を読み上げる。

2枚目には注意点が書いてある。
・着色あり、白黒は不可。
・トータルデザイン画でも服装のみの
デザイン画でも可、など。
それとイラストの例。

「応募封筒をテンプレートして
イラストを入れて送ってもらう」
「一件も来なかったら
どうするんです?」
「悲しいこと言わないでよ、類くん。
一応、デザイン画は作ってもらってる。10月の第二土曜日までだからそれまで
お楽しみかな。急遽呼んだ理由は
これで終わり。ごめんね」

再び、部屋へ戻る。
「あの、さっきの部分って
使いますか?」
蓮のトーンの変わらない声に
「はい、七瀬さんから許可は出ていますから。その宣伝のために私たちスタッフ
も同室を許可されたと思います」
と敬語になっていた。

正午に撮影は終わりスタッフさん達と
別れる。
「久しぶりのベットだ」
飛び込むとベットフレームがギシギシと
音を立てる。
(勢いつけすぎた?年季?
まさか、・・・太った?)
「ちょっと走ってきます!」
ジャージに着替えて玄関を出る。

それぞれ部屋でくつろいでいた2人は
(あれ、何だろう)
(体力づくり?)
と考えていたが類に至っては興味なしで終わった。

ランニング終了して帰って冷蔵庫から
お茶を取り出し飲んでいるとポケット
に入れたスマホが鳴る。
(やっぱり翔か。でもなんだろう、
嫌な予感がする)

鳴り続ける着信画面をタップして
耳に当てる
「なに、どうしたの?」
「舞!」
陸さんが怒号にも近い声量で叫ぶ。
「陸さん?」
驚いたがそれよりも
(なんで本人じゃないの)
「翔がー」
「ごめん、もう一回出てくる!!」
誰に言うでもなく叫び玄関を飛び出す。

さっきとは明らかに違う声と雑さに
類と蓮も部屋を出た。
「それほど急用なんだろうね」
軽く蓮に言うと蓮は類を見ている。
何かを堪えているような顔をしている類
を見る蓮もどこか後ろめたさを感じる
表情だった
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