虹色のバラが咲く場所は
223話 売店
翔はまだ目を覚ますことなく
ベットで眠っている。
(昨日より遥かに顔色はいいし、
強制睡眠って思えば気が楽かな。
それにしても)
実の兄に後光が見えるというのは
おかしいが
(本当に顔がいいよね、翔って。
一言で表すならまさに清潭)
キャラ作りのためか高校卒業、
オーディション手前で翔は
髪を青色に染めた。
人によって紫と答えるくらい青と紫の
中間くらいの色。
世間ではこういう落ち着いた染め方を
ダークトーンというらしい。
染める前は焦げ茶色だった。
(売店でゼリーとか買ってこようかな)
病室を出ると深く帽子を被った女性と
すれ違う。
女性は病室を見つめ呟いた。
「ひびや 翔」
(え、?!)
驚いて足を止めようとしたが我慢して
売店へ向かう。
(なに、今の人。でも病室の名札の名前を言っただけかも。
いや、なんで口にする必要が?!
でも意図せず出たのかもしれないし)
売店でゼリーのほかにヨーグルトや
お茶、サンドイッチなどを買い
再び病室に戻る。
(病室は3階、売店は一階だから地味に
遠いんだよね)
エレベーターはあるが少しでも動いて
いないと不安で階段で3階まで目指す。
スマホの時間はあれから20分くらい
経っていた。
病室に向かう角を曲がるとちょうど
翔の部屋から医師が出てきた。
すれ違ってから小走りでドアを開けると
翔はベットにもたれかかっていた。
「おはよう、舞。
迷惑かけてごめん。大事な時期なのに」
(自分が倒れても尚、私の心配するんだ)
一拍置いて思い切り息を吸う
「ほんとだよ、翔。私、聞いたら
大丈夫って言ったよね!?
全然大丈夫じゃなかったじゃん!」
「き、気持ちは分かるけど
ここ病室、それに俺起きた
ばかりだから」
胸の前で手をあげて私を
嗜めようとする翔。
「でもよかった。まだ生きて
いてくれて」
翔は私の頭を少し雑に撫でまわす
「俺はまだ逝かないから
心配するな。たとえそうなっても向こうで追い返してくれるよ」
「うん」
部屋の隅にある冷蔵庫にゼリーなどを
入れながら聞く。
「そうそう、売店行く時、誰かが病室の名札を見て呟いてたんだ」
「どんな?」
「茶髪のショートカットの4、50代
くらいの人。サングラスとマスクしてたけど多分女性。
耳の近くにホクロがあったんだ。
でもその人不思議なこと言っててさ」
「不思議なこと?」
冷蔵庫を閉じてベット傍にある
引き戸を開ける。
着替えとタオル数枚、印鑑、
ボールペン、保険証の入ったポーチ。
(隣の引き出しには下着類かな)
「日比谷 翔。みおの、って」
会話のキャッチボールが止まって
引き出しを閉めて振り返ると
青ざめていた。
「翔?」
「あの人、今さら」
とすごい剣幕でベットから
降りようとした。
「か、翔!」
翔にしがみついて、ナースコールを
押すと、看護師さんがきて翔を
抑えてくれた。
点滴の針を確認してから
「次したら縛りますよ」
と半分脅しをして
「すみませんでした」
と反省した翔を見て踵を返していった。
落ち着いてから、ゼリーを二つ
取り出して椅子に座る。
「翔、さっきの人って誰なの?
知り合いだよね。あんなに取り乱して」
「あの人は、お袋の妹で俺たちから
したら叔母だ」
ベットで眠っている。
(昨日より遥かに顔色はいいし、
強制睡眠って思えば気が楽かな。
それにしても)
実の兄に後光が見えるというのは
おかしいが
(本当に顔がいいよね、翔って。
一言で表すならまさに清潭)
キャラ作りのためか高校卒業、
オーディション手前で翔は
髪を青色に染めた。
人によって紫と答えるくらい青と紫の
中間くらいの色。
世間ではこういう落ち着いた染め方を
ダークトーンというらしい。
染める前は焦げ茶色だった。
(売店でゼリーとか買ってこようかな)
病室を出ると深く帽子を被った女性と
すれ違う。
女性は病室を見つめ呟いた。
「ひびや 翔」
(え、?!)
驚いて足を止めようとしたが我慢して
売店へ向かう。
(なに、今の人。でも病室の名札の名前を言っただけかも。
いや、なんで口にする必要が?!
でも意図せず出たのかもしれないし)
売店でゼリーのほかにヨーグルトや
お茶、サンドイッチなどを買い
再び病室に戻る。
(病室は3階、売店は一階だから地味に
遠いんだよね)
エレベーターはあるが少しでも動いて
いないと不安で階段で3階まで目指す。
スマホの時間はあれから20分くらい
経っていた。
病室に向かう角を曲がるとちょうど
翔の部屋から医師が出てきた。
すれ違ってから小走りでドアを開けると
翔はベットにもたれかかっていた。
「おはよう、舞。
迷惑かけてごめん。大事な時期なのに」
(自分が倒れても尚、私の心配するんだ)
一拍置いて思い切り息を吸う
「ほんとだよ、翔。私、聞いたら
大丈夫って言ったよね!?
全然大丈夫じゃなかったじゃん!」
「き、気持ちは分かるけど
ここ病室、それに俺起きた
ばかりだから」
胸の前で手をあげて私を
嗜めようとする翔。
「でもよかった。まだ生きて
いてくれて」
翔は私の頭を少し雑に撫でまわす
「俺はまだ逝かないから
心配するな。たとえそうなっても向こうで追い返してくれるよ」
「うん」
部屋の隅にある冷蔵庫にゼリーなどを
入れながら聞く。
「そうそう、売店行く時、誰かが病室の名札を見て呟いてたんだ」
「どんな?」
「茶髪のショートカットの4、50代
くらいの人。サングラスとマスクしてたけど多分女性。
耳の近くにホクロがあったんだ。
でもその人不思議なこと言っててさ」
「不思議なこと?」
冷蔵庫を閉じてベット傍にある
引き戸を開ける。
着替えとタオル数枚、印鑑、
ボールペン、保険証の入ったポーチ。
(隣の引き出しには下着類かな)
「日比谷 翔。みおの、って」
会話のキャッチボールが止まって
引き出しを閉めて振り返ると
青ざめていた。
「翔?」
「あの人、今さら」
とすごい剣幕でベットから
降りようとした。
「か、翔!」
翔にしがみついて、ナースコールを
押すと、看護師さんがきて翔を
抑えてくれた。
点滴の針を確認してから
「次したら縛りますよ」
と半分脅しをして
「すみませんでした」
と反省した翔を見て踵を返していった。
落ち着いてから、ゼリーを二つ
取り出して椅子に座る。
「翔、さっきの人って誰なの?
知り合いだよね。あんなに取り乱して」
「あの人は、お袋の妹で俺たちから
したら叔母だ」