虹色のバラが咲く場所は
239話 夏祭り
「紗南、ホントに浴衣で行くの?
私、別にワンピースとかでもいいん
だけど」
「え~、せっかく浴衣があるんだから
着ようよ」
「それは今着付けている人のセリフじゃないよ」
立ち膝になって浴衣の裾を持って
おはしょりの位置を合わせる。
「というかなんで浴衣があるの。
紗南の分ならまだしも私の分まで」
「おばさんの趣味が裁縫でさ。
毎年私の分を作ってくれてるんだけど
それだと物足りないんだって。
だから舞のこと話したら
張り切っちゃって」
慣れた手つきで今度は帯に取り掛かる。
濃い紫色に着丈部分はお淑やかだが
袖の部分は派手に桜が集中的に
散らばっている。
蝶結びにされた赤い帯。
髪を結い、まとめて浴衣と同色系の
簪を挿される。
紗南は白い浴衣に青い朝顔が描かれて
いる浴衣。帯は黄色。
会場に近づくにつれ賑やかになる。
端から端まで照らしている提灯、
ずらりと並んだ出店。
りんご飴にチョコバナナを食べ歩く人
水風船を弾ませる子供、射的。
右も左も誘惑だらけ。
早速水風船の出店に走る紗南。
「よーし、いっぱい取るぞー!」
「あ、待って」
釣り針で意気込む紗南をとめて
袖を一周腕にぐるりとまわして
巾着に入れておいた洗濯バサミで留める
「あ、そのままやったら間違いなく
袖が濡れてた、ありがとう」
袖を少し捲った紗南に耳打ち。
「こよりをもう少し捻ったら強度が
増すよ」
「そうなんだ」
こよりを数回捻って紗南は連続で
3つ取った。
(意外な才能)
その後も射的でぬいぐるみとお菓子を
取った。狙いを定める目は
初めて見たギャップでちょっと
かっこよかった。
「舞はやりたいこととか、
食べたいものとかないの?」
「うん、なんか見ているだけで十分かなって。それに、」
「それに?」
躊躇って小声にする
「なんか高いな、って。
これなら自分で作ったほうが安いかなとか思っちゃって」
「確かに」
笑って水風船を弾ませる。
中の水の音だけで涼しくなる。
チラチラと私を見て、
水風船を弾ませるのをやめた。
ゴムの伸び縮みで、音が大人しくなる
「あのさ、舞。
なんか元気ないように見えるんだけど。具合悪い?」
「え、そう見える?
別にどこも悪くないんだけど」
「じゃあ気のせいかな。
ごめん、楽しい雰囲気なのに」
「別に。花火どこで見ようか」
話題を変えて少し先を歩く。
カラカラと下駄を鳴らして先を歩く舞
(前、舞は嘘つかないでって言ったよね。わかるからって。舞が私が嘘をついているのがわかるように、私も舞がなにか
隠してる事は知ってるんだよ。でも
私は聞かないし、知ろうと思わない。
秘密の全くない友情なんて私は
望まないから)
舞を追いかけると1人の甚平姿の男の子に呼び止められていた。
私を見つけた彼は驚いて、
申し訳なさそうな顔をした。
「あ、すみません。お友達がいたのに
遮ってしまって」
(全く分からない。舞の反応からして知り合いだとは思うけど)
「舞?彼は?」
「あ、紗南。雪希の友達の辺里くん」
「はじめまして、紗南さん」
「ど、どうも」
軽く頭を下げる。
失礼だが、胡散臭さを感じてしまった。
猫をかぶっているような。
「ねぇ、咲。あれ、日比谷さん。
こんにちは」
(また増えた。今度は女の子。
デートかな?)
「えっと、ごめんなさい。
どこかで会ったっけ?」
首を傾げる舞に彼女は笑った。
「宮本です。中学一年の時に
咲と一緒にあそこに行って・・・」
「ちょ、竜、待って」
辺里くんは待ったをかけたが遅かった。
「?辺里くんと彼女と舞は面識があるんだよね。相当、プライベートに踏み込
まないと雪希くんの友達と面識があるなんて思えないんだけど」
2人は青ざめていたが、彼女だけは
ポカンとしていた。
私、別にワンピースとかでもいいん
だけど」
「え~、せっかく浴衣があるんだから
着ようよ」
「それは今着付けている人のセリフじゃないよ」
立ち膝になって浴衣の裾を持って
おはしょりの位置を合わせる。
「というかなんで浴衣があるの。
紗南の分ならまだしも私の分まで」
「おばさんの趣味が裁縫でさ。
毎年私の分を作ってくれてるんだけど
それだと物足りないんだって。
だから舞のこと話したら
張り切っちゃって」
慣れた手つきで今度は帯に取り掛かる。
濃い紫色に着丈部分はお淑やかだが
袖の部分は派手に桜が集中的に
散らばっている。
蝶結びにされた赤い帯。
髪を結い、まとめて浴衣と同色系の
簪を挿される。
紗南は白い浴衣に青い朝顔が描かれて
いる浴衣。帯は黄色。
会場に近づくにつれ賑やかになる。
端から端まで照らしている提灯、
ずらりと並んだ出店。
りんご飴にチョコバナナを食べ歩く人
水風船を弾ませる子供、射的。
右も左も誘惑だらけ。
早速水風船の出店に走る紗南。
「よーし、いっぱい取るぞー!」
「あ、待って」
釣り針で意気込む紗南をとめて
袖を一周腕にぐるりとまわして
巾着に入れておいた洗濯バサミで留める
「あ、そのままやったら間違いなく
袖が濡れてた、ありがとう」
袖を少し捲った紗南に耳打ち。
「こよりをもう少し捻ったら強度が
増すよ」
「そうなんだ」
こよりを数回捻って紗南は連続で
3つ取った。
(意外な才能)
その後も射的でぬいぐるみとお菓子を
取った。狙いを定める目は
初めて見たギャップでちょっと
かっこよかった。
「舞はやりたいこととか、
食べたいものとかないの?」
「うん、なんか見ているだけで十分かなって。それに、」
「それに?」
躊躇って小声にする
「なんか高いな、って。
これなら自分で作ったほうが安いかなとか思っちゃって」
「確かに」
笑って水風船を弾ませる。
中の水の音だけで涼しくなる。
チラチラと私を見て、
水風船を弾ませるのをやめた。
ゴムの伸び縮みで、音が大人しくなる
「あのさ、舞。
なんか元気ないように見えるんだけど。具合悪い?」
「え、そう見える?
別にどこも悪くないんだけど」
「じゃあ気のせいかな。
ごめん、楽しい雰囲気なのに」
「別に。花火どこで見ようか」
話題を変えて少し先を歩く。
カラカラと下駄を鳴らして先を歩く舞
(前、舞は嘘つかないでって言ったよね。わかるからって。舞が私が嘘をついているのがわかるように、私も舞がなにか
隠してる事は知ってるんだよ。でも
私は聞かないし、知ろうと思わない。
秘密の全くない友情なんて私は
望まないから)
舞を追いかけると1人の甚平姿の男の子に呼び止められていた。
私を見つけた彼は驚いて、
申し訳なさそうな顔をした。
「あ、すみません。お友達がいたのに
遮ってしまって」
(全く分からない。舞の反応からして知り合いだとは思うけど)
「舞?彼は?」
「あ、紗南。雪希の友達の辺里くん」
「はじめまして、紗南さん」
「ど、どうも」
軽く頭を下げる。
失礼だが、胡散臭さを感じてしまった。
猫をかぶっているような。
「ねぇ、咲。あれ、日比谷さん。
こんにちは」
(また増えた。今度は女の子。
デートかな?)
「えっと、ごめんなさい。
どこかで会ったっけ?」
首を傾げる舞に彼女は笑った。
「宮本です。中学一年の時に
咲と一緒にあそこに行って・・・」
「ちょ、竜、待って」
辺里くんは待ったをかけたが遅かった。
「?辺里くんと彼女と舞は面識があるんだよね。相当、プライベートに踏み込
まないと雪希くんの友達と面識があるなんて思えないんだけど」
2人は青ざめていたが、彼女だけは
ポカンとしていた。