虹色のバラが咲く場所は
247話 夢
「ただいま」
家の電気をパチっとつけて、
椅子に座る。
「はぁ、」
(なんであんなこと
言っちゃったんだろう)
初めてあそこにいたくないって思った。
でも家で1人も嫌で。
断られることを覚悟してある人物に
連絡する。
ーちょっと家に来てくれる?
聞いて欲しいことがあってー
了解と返事が来たのを確認して
画面を伏せてテーブルに置く。
(私、こんなに弱くなっちゃった)
「母さん、ちょっと舞のところ
行ってくる」
「え、もう夜だよ?」
「親友の緊急事態なの!」
「あ、待ちなさい」
制止の声も聞こえないフリして家を出る
あの舞からのSOS。
いつも大事なことは言わなくて
抱え込む。
そんな人からの頼みを断れるはずがない
家の前で、息を整える。
「おじゃましまーす」
申し訳程度に挨拶して、
ドアに手をかけると開いていた。
(あの舞がこんな不用心なんて。
いや、私が来るから開けていたのかも)
「入りますね」
ドアを閉めて、鍵をかける。
リビングらしいところだけ電気が
ついている。
(そういえば舞がうちに来ることある
けど、舞の家は初めてだな)
電気がついてるのはやっぱりリビングで
舞はラグの上で膝を抱えて丸まっていた
「舞、」
名前を呼ばれた本人は肩を震わせる。
「来てくれたんだ、紗南」
弱々しい声に少し狼狽える。
「当たり前でしょ」
舞の隣に座る。
ぽつりぽつりと話してくれた。
STEPの翔さんが実の兄だということ。
STEPと同じステージに立つことが夢
だったこと。
雪希くんが熱中症で死にかけたこと。
夢が白紙になったこと。
頭が真っ白になった。
こんなに事が重なって平気な人間を
私は知らない。
それに弱った人に対する完璧な回答を
知らなくてただ背中をさすることしか
できない。
「紗南、私・・・
仲間が、傷つくのは嫌だ。
でも夢も・・・諦めたく、なかった」
(なかった。もう、決まっちゃったんだ)
ボロボロに泣きながら訴えた。
舞が泣くことすら私は初めて見た。
「舞、舞は夢を叶えたいためだけに
アイドルになったの?」
ピクリと動く舞の体。
「最初はそれだけだった。
翔と同じステージに立ちたくて」
「でも、雪希と、類と、蓮と出会って
楽しかったことも、悔しかったことも
たくさん経験して。
仲間で、かけがえのない存在で」
舞は顔をバッと上げて目をぎゅと擦り
頬を両手でパンと叩いた。
「私は3人が大切なんだ。
大切だって思ってる相手が
自分がいなかったら、なんて言われたら悲しいし、そう思われたことが悔しい。なんで簡単なこと分かんなかったん
だろう」
その目にもう涙はなかった。
「憧れは次の憧れを生む。
だったら夢だって、一つじゃない。
次から次へと生まれる。
一つ潰えたからなんだ。
私はまだ上を目指す。紗南」
「え、なに」
急に呼ばれて内心ビクッとなる。
「私たちはもっと上を行くから。
STEPも見たことがない景色を
みんなで見に行く。
他のアイドルが霞むくらい
魅せてみせる。
無限の可能性を信じる。」
その目にもう迷いはなかった。
「フラワーだって負けない」
(よかった)
舞がお風呂に入ってる間に
類さんに連絡をする。
「舞、どんな感じ?」
最後のチャットに返信をする。
「大丈夫ですよ、もう
俯いていません」
すぐに既読がついて
「ありがとう」
とだけ返ってきた。
蓮先輩と雪希くんも心配していたとの事
(役に立ててよかった)
家の電気をパチっとつけて、
椅子に座る。
「はぁ、」
(なんであんなこと
言っちゃったんだろう)
初めてあそこにいたくないって思った。
でも家で1人も嫌で。
断られることを覚悟してある人物に
連絡する。
ーちょっと家に来てくれる?
聞いて欲しいことがあってー
了解と返事が来たのを確認して
画面を伏せてテーブルに置く。
(私、こんなに弱くなっちゃった)
「母さん、ちょっと舞のところ
行ってくる」
「え、もう夜だよ?」
「親友の緊急事態なの!」
「あ、待ちなさい」
制止の声も聞こえないフリして家を出る
あの舞からのSOS。
いつも大事なことは言わなくて
抱え込む。
そんな人からの頼みを断れるはずがない
家の前で、息を整える。
「おじゃましまーす」
申し訳程度に挨拶して、
ドアに手をかけると開いていた。
(あの舞がこんな不用心なんて。
いや、私が来るから開けていたのかも)
「入りますね」
ドアを閉めて、鍵をかける。
リビングらしいところだけ電気が
ついている。
(そういえば舞がうちに来ることある
けど、舞の家は初めてだな)
電気がついてるのはやっぱりリビングで
舞はラグの上で膝を抱えて丸まっていた
「舞、」
名前を呼ばれた本人は肩を震わせる。
「来てくれたんだ、紗南」
弱々しい声に少し狼狽える。
「当たり前でしょ」
舞の隣に座る。
ぽつりぽつりと話してくれた。
STEPの翔さんが実の兄だということ。
STEPと同じステージに立つことが夢
だったこと。
雪希くんが熱中症で死にかけたこと。
夢が白紙になったこと。
頭が真っ白になった。
こんなに事が重なって平気な人間を
私は知らない。
それに弱った人に対する完璧な回答を
知らなくてただ背中をさすることしか
できない。
「紗南、私・・・
仲間が、傷つくのは嫌だ。
でも夢も・・・諦めたく、なかった」
(なかった。もう、決まっちゃったんだ)
ボロボロに泣きながら訴えた。
舞が泣くことすら私は初めて見た。
「舞、舞は夢を叶えたいためだけに
アイドルになったの?」
ピクリと動く舞の体。
「最初はそれだけだった。
翔と同じステージに立ちたくて」
「でも、雪希と、類と、蓮と出会って
楽しかったことも、悔しかったことも
たくさん経験して。
仲間で、かけがえのない存在で」
舞は顔をバッと上げて目をぎゅと擦り
頬を両手でパンと叩いた。
「私は3人が大切なんだ。
大切だって思ってる相手が
自分がいなかったら、なんて言われたら悲しいし、そう思われたことが悔しい。なんで簡単なこと分かんなかったん
だろう」
その目にもう涙はなかった。
「憧れは次の憧れを生む。
だったら夢だって、一つじゃない。
次から次へと生まれる。
一つ潰えたからなんだ。
私はまだ上を目指す。紗南」
「え、なに」
急に呼ばれて内心ビクッとなる。
「私たちはもっと上を行くから。
STEPも見たことがない景色を
みんなで見に行く。
他のアイドルが霞むくらい
魅せてみせる。
無限の可能性を信じる。」
その目にもう迷いはなかった。
「フラワーだって負けない」
(よかった)
舞がお風呂に入ってる間に
類さんに連絡をする。
「舞、どんな感じ?」
最後のチャットに返信をする。
「大丈夫ですよ、もう
俯いていません」
すぐに既読がついて
「ありがとう」
とだけ返ってきた。
蓮先輩と雪希くんも心配していたとの事
(役に立ててよかった)