虹色のバラが咲く場所は
252話 甘え
思ってた返事じゃなかったのか
固まったり、
声が漏れたり驚いていた。
「理由を聞いてもいい?」
真ん中に座っている日向さんは
笑顔を繕った。
「また、ステージに立てるチャンス
をいただけたことは嬉しかったです。
こんなこともう2度とないって
わかってます。
でも、考えたんです。
もう一度参加して
自分たちらしいライブができるか、
本当に良かったのか、
胸を張って同じ場所に立てるのか。
そしたら懸念して後悔してしまって。
自分たちらしいライブはできないと
そう直感したんです。」
「あの、舞さん。」
一区切りして涼太さんが割って入る。
「あなたがアイドルになったのは
翔と、私たちと同じステージに立つことだと思っていましたけど、
もしかして違いましたか?」
涼太さんの問いに首を振る。
「合っています、涼太さん。
アイドルになったきっかけは
兄と同じステージに立ちたかったから。だから、白紙になった時
すごく辛かったです。
でも友達が、仲間が受け入れてくれて
背中を押してくれて
白紙になってわかったことも
あったんです。
夢は一つじゃないって。
生まれ続けるものだって。
白紙がなかったらきっと、
気づくことができませんでした。
優斗さん、私たちを選んでくださったのにすみません。
でもこれが私たちの総意なんです」
「そっか、みんながそう決めたなら
このことについては何も言わない。
雪希くん、」
「あ、はい」
「体調は大丈夫?」
「あ、はい。
心配してくれてありがとうございます。今は大丈夫です」
日向さんはニコリと笑って続けた。
「蓮くん、舞ちゃん、雪希くん、
類くん。俺たちはあと半年後に
終止符をうつ。
でも、君たちはまだ終わらない。
今以上の活躍を期待してるよ」
「「「「はい!」」」」
部屋を出て廊下を歩いていると
呼び止められる。
「ちょっといいかな」
振り向くと、七瀬さんと似た雰囲気の
女性が立っていた。
「蒼葉 類くん。
少し時間いいかな?」
「あ、はい。
みんな先行ってて」
事務所を出て、散策する。
中学生くらいの
女の子たちの会話がすれ違いで
聞こえてくる。
「ねぇ、STEPって知ってる?」
「少しは。7人のアイドルだっけ?」
「そうそう、私の推し、翔くん
だったんだ」
「だった?」
「クールでかっこいいから推してたんだけど、シスコンだったみたいで幻滅。」
気になって立ち止まる。
「へー、シスコンかぁ」
「ちーちゃんだってお兄さんが
デレデレだったら嫌でしょ?」
「まあ、ちょっとウザいかな」
「あーいう二面性ってちょっと嫌だな」
私に気づかないで笑いながら
歩いていく。
「そんなの勝手な理想像でしょ」
呟きは彼女たちに聞こえなかった。
「舞?」
いつのまにか振り返っている2人に
小走りで近づいて割って入る。
「何かあった?」
「・・・ううん、なんでもない」
(感じ方はそれぞれだけどなんか
すっきりしない。
方針でこうあるようにって言われて
それに従って、素を見せたら
幻滅とか。
勝手にそうあって欲しいっていう願望で理想が一人歩きしてるだけ。
演じているのも素も自分だってことに
変わりないのに)
近くの雑貨店で各自、店内をまわって
いると類から
グループチャットに連絡が入った。
ー今、どこにいる?ー
蓮が返事を返してその場所の地図を
送る。
合流して帰った。
蓮の話に相槌を打って楽しそうで。
でもどこか浮かない顔をしているように見えた。
「蒼葉くん、うちのチームにこない?」
「・・・え?」
固まったり、
声が漏れたり驚いていた。
「理由を聞いてもいい?」
真ん中に座っている日向さんは
笑顔を繕った。
「また、ステージに立てるチャンス
をいただけたことは嬉しかったです。
こんなこともう2度とないって
わかってます。
でも、考えたんです。
もう一度参加して
自分たちらしいライブができるか、
本当に良かったのか、
胸を張って同じ場所に立てるのか。
そしたら懸念して後悔してしまって。
自分たちらしいライブはできないと
そう直感したんです。」
「あの、舞さん。」
一区切りして涼太さんが割って入る。
「あなたがアイドルになったのは
翔と、私たちと同じステージに立つことだと思っていましたけど、
もしかして違いましたか?」
涼太さんの問いに首を振る。
「合っています、涼太さん。
アイドルになったきっかけは
兄と同じステージに立ちたかったから。だから、白紙になった時
すごく辛かったです。
でも友達が、仲間が受け入れてくれて
背中を押してくれて
白紙になってわかったことも
あったんです。
夢は一つじゃないって。
生まれ続けるものだって。
白紙がなかったらきっと、
気づくことができませんでした。
優斗さん、私たちを選んでくださったのにすみません。
でもこれが私たちの総意なんです」
「そっか、みんながそう決めたなら
このことについては何も言わない。
雪希くん、」
「あ、はい」
「体調は大丈夫?」
「あ、はい。
心配してくれてありがとうございます。今は大丈夫です」
日向さんはニコリと笑って続けた。
「蓮くん、舞ちゃん、雪希くん、
類くん。俺たちはあと半年後に
終止符をうつ。
でも、君たちはまだ終わらない。
今以上の活躍を期待してるよ」
「「「「はい!」」」」
部屋を出て廊下を歩いていると
呼び止められる。
「ちょっといいかな」
振り向くと、七瀬さんと似た雰囲気の
女性が立っていた。
「蒼葉 類くん。
少し時間いいかな?」
「あ、はい。
みんな先行ってて」
事務所を出て、散策する。
中学生くらいの
女の子たちの会話がすれ違いで
聞こえてくる。
「ねぇ、STEPって知ってる?」
「少しは。7人のアイドルだっけ?」
「そうそう、私の推し、翔くん
だったんだ」
「だった?」
「クールでかっこいいから推してたんだけど、シスコンだったみたいで幻滅。」
気になって立ち止まる。
「へー、シスコンかぁ」
「ちーちゃんだってお兄さんが
デレデレだったら嫌でしょ?」
「まあ、ちょっとウザいかな」
「あーいう二面性ってちょっと嫌だな」
私に気づかないで笑いながら
歩いていく。
「そんなの勝手な理想像でしょ」
呟きは彼女たちに聞こえなかった。
「舞?」
いつのまにか振り返っている2人に
小走りで近づいて割って入る。
「何かあった?」
「・・・ううん、なんでもない」
(感じ方はそれぞれだけどなんか
すっきりしない。
方針でこうあるようにって言われて
それに従って、素を見せたら
幻滅とか。
勝手にそうあって欲しいっていう願望で理想が一人歩きしてるだけ。
演じているのも素も自分だってことに
変わりないのに)
近くの雑貨店で各自、店内をまわって
いると類から
グループチャットに連絡が入った。
ー今、どこにいる?ー
蓮が返事を返してその場所の地図を
送る。
合流して帰った。
蓮の話に相槌を打って楽しそうで。
でもどこか浮かない顔をしているように見えた。
「蒼葉くん、うちのチームにこない?」
「・・・え?」