虹色のバラが咲く場所は
26話 取引したから
私が部屋に戻ると蓮と類がいた。
「おじゃましてるよ、」
「トランプやろうと思ったんだけどな」
「その前に僕たちから一ついいかな」
(あれ、なんか空気が重いっていうか
冷たいっていうか)
その部屋にいるってことは部屋を
移動したこと。まさか会話を聞かれた!?
「あ、あの」
「舞、僕たちに黙ってることない?」
「えっと、」
言い淀む、なにこれデジャブ?
「俺と蓮がこの部屋に来る時、
聞いちゃったんだよな」
「いつまでそれを続けるの、って」
「どういうことなの」
蓮と雪希の視線がいたい
「優斗さんと何か話してただろ」
蓮の声が冷たい。
「誰にだって秘密の一つや
二つあるでしょ?」
「それはそう、だけど」
雪希は言い淀む。
一応、助け舟を求めて類を見るが
「まぁまぁ、雪希、蓮、舞の言う通り秘密は誰にだってある。でもそれを打ち明けてこその絆だと思うけどな」
類はにっこりとこちらを見る。
(だよね、類は中立になりつつ楽しむ人
分かってたのに助けを求めた自分が馬鹿だった。でも本当に馬鹿なのは)
「私だ」
「は?」
「私はね、STEPの天宮翔の妹です」
少し間が空いて
「だろうな」
「え、」
蓮の返しに頭が真っ白になった
「え、気づいてたの!?」
「いや、気づいたというか、
もしかしてって。」
「え~、ちなみにいつから?」
(気づいてなかったの僕だけ!?)
「合宿の話がでたところで、なんとなく。
運がいいとかの範疇超えてるなって
あとは、」
「あとは?」
「いや、なんでもない。」
「?」
(パラソルの準備で断られた時なんとなく舞に似てる感じがした、なんて絶対言わない)
「というかその感じだと類は知ってたのか」
蓮は類に視線を向ける
「まぁね。」
「俺たちには秘密だったんだな」
蓮の声は怒気が含まれている。
「本人以外の口から聞く内容じゃないと
思ってね。それに俺たちは取引したから」
「取引?なんの」
蓮の声が一段と低くなる。
「それは教えられないな。」
「おい舞、類になにされた。」
蓮の視線はこちらに向く
「された、というか、した、というか」
「そうかよ」
蓮は舌打ちとして部屋を出て行こうとしたが
「えっとお取り込み中?」
「翔、」
「いえ、大丈夫です」
類はスッと立ち上がり答える。
「花火やろうと思って、どう?」
「用意周到だね、翔」
「まぁね、備えあればなんとやら、だよ。蓮くん」
私たちは外で花火をすることに。
打ち上げは禁止されているので
手持ちだけ。
舞と雪希、他の皆さんが花火をしている中、
傍観してる俺に蓮が近づいてくる。
「なぁ類」
「なに?」
「さっき言ったよな、取引したって。」
「なに、まだ納得してないの?」
「ああ、なんの取引したんだ」
「誰にも言わない?」
「約束する」
蓮は真剣な目をして頷く。
「デート、したんだ」
「はぁ、デート?」
俺の言葉に蓮は間抜けヅラをする、
「うん、もちろん手を繋いだりはしてない
ほんとにただ出かけただけ」
「そうかよ、よかった」
蓮はため息をつき安心したような顔をする。「なにしたと思ったの」
「え?」
「そんなにしつこく聞くんだ。
別のこと考えてるのかと思って」
「あ、いや。別に」
頬を赤くし焦っている。
(面白いな)
「まさか取引がキスだと思った?」