虹色のバラが咲く場所は
265話 名前
その後雪希が帰ってきた。
「ただいま、あけましておめでとう
ございます」
「あ、そういえば俺帰ってきてから言ってない。あけましておめでとう」
「おめでとう」
これからはもっと忙しくなって
こうして何かを言い合うことも少なくなるのかな。
「どうしたの?舞」
しんみりとした気分を雪希の声で切り替える。
「いや、大丈夫」
しばらくして冬休みが明けた。
(一年の時に類と一緒だった子もいるし
そうなるよね)
教室で立花と会っても、よそよそしい。
「久しぶり、日比谷。」
「うん、立花は変わってないね。」
「そんな短期間で変わったら怖いよ」
「それもそうだね。」
目線が行ったり来たり、
必死に話を探してる。
「仕事はどうなの?」
「また今日から始まるよ」
「そっか。それじゃ」
自分の席に立花は向かった。
朝のHRに類のことが通達された。
ニュースにもなっていて
みんな知っているからざわめきとかは
なかった。
ー始業式ー
連絡事項を話し終えると黙祷をする。
初等部1年の時に校長先生が終業式に
言った言葉を思い出す。
ー始業式でまた元気な顔を
見せてくださいー
その時は大袈裟だと思っていだけど
今その意味がわかった。
教室に戻る途中、チラッと類のクラスを見ると花瓶が置かれていた。
(あそこが類の席だったんだな)
教室に戻ると席替えをした。
窓際の席。隣は
「よろしく、日比谷」
「どうも」
3学期始まってすぐの校内テスト。
学年一位は麻倉という男子。
でも少しも嬉しくないように見えた。
そしてあっという間に時間は流れて3月。
蓮は卒業して大学へ。
みんな揃って生徒指導室でお昼を食べていたのがなぜか懐かしい。
「日比谷」
「なに、立花」
1時間目が終わった休み時間。
私の机の前にしゃがんで目線を合わせる
立花。
「昼休み、空いてる?」
「え、まぁ空いてるけど」
(なんのようだろう)
「昼飯食べる前にさ」
ガタッと腰を上げて、耳元に顔を寄せて
囁く。
「告白したいから生徒指導室にきて」
耳にかかる息が妙にくすぐったい。
(告白ってなんの?)
「わかった。」
立花は満足げに私の席から離れて隣に
座る。
休み時間のうちに雪希に今日は自分のクラスで食べてとメールしておこう。
クラスメイトの反応は、
(立花が日比谷にまたちょっかいかけてる)
だった。
ー昼休みー
生徒指導室。
ちょうど空いていて空室の札をひっくり返す。
「それで告白ってなに?」
「前にも言ったけど俺は日比谷のことが好きだ。」
「うん、知ってる」
できるだけ落ち着いた優しい声で返す。
「卒業までに落とすって言った。」
「覚えてるよ」
「でも舞はとっくに堕ちてるんだろ。」
「うん、よくわかるね」
「Rainbow Rose以上じゃないけど
クラスメイト以上に舞のことを
見てきたからね」
「私、そんなにわかりやすい?」
「いや、普通のクラスメイトなら気づかない。でも好きなやつの恋情の視線なら気づく。おれじゃないって」
「うん、私好きな人がいる」
「随分あっさりというんだな」
最後まで言わないと思ったのか、
若干引いていた。
「だって分かってるんだし、誤魔化す
必要ないでしょ。」
「そうだけど。いいのか?
俺他にバラすかもしれないぞ。」
「そうだけど。いいのか?
俺他にバラすかもしれないぞ」
「芋蔓式に立花自身も危ない。
そんなことしないでしょ」
「よく分かってるね」
ニコニコしていた立花。
次はどうするのかとぼんやり考えていたら私は立花の腕の中にいた。
「立花?」
「ごめん、でもこれくらいいいだろ?」
珍しくしおらしい声に好きにさせる。
「俺は本気で舞の恋人になりたかった。
ダメだったら俺がもらう。
うまくいったら友達付き合いくらいは
させて。あとこれっきりでいいから名前を呼んでくれ。」
「うん、好きになってくれて
ありがとう。樹」
(はっきり言って迷惑なのは今も変わらない。でもその気持ちにきちんと返事をしなきゃと思うくらい成長させてくれたんだな)
それから立花との駆け引きはなく、
友達としての付き合いをしている。
そして時は2年後まで足早にかける。
「ただいま、あけましておめでとう
ございます」
「あ、そういえば俺帰ってきてから言ってない。あけましておめでとう」
「おめでとう」
これからはもっと忙しくなって
こうして何かを言い合うことも少なくなるのかな。
「どうしたの?舞」
しんみりとした気分を雪希の声で切り替える。
「いや、大丈夫」
しばらくして冬休みが明けた。
(一年の時に類と一緒だった子もいるし
そうなるよね)
教室で立花と会っても、よそよそしい。
「久しぶり、日比谷。」
「うん、立花は変わってないね。」
「そんな短期間で変わったら怖いよ」
「それもそうだね。」
目線が行ったり来たり、
必死に話を探してる。
「仕事はどうなの?」
「また今日から始まるよ」
「そっか。それじゃ」
自分の席に立花は向かった。
朝のHRに類のことが通達された。
ニュースにもなっていて
みんな知っているからざわめきとかは
なかった。
ー始業式ー
連絡事項を話し終えると黙祷をする。
初等部1年の時に校長先生が終業式に
言った言葉を思い出す。
ー始業式でまた元気な顔を
見せてくださいー
その時は大袈裟だと思っていだけど
今その意味がわかった。
教室に戻る途中、チラッと類のクラスを見ると花瓶が置かれていた。
(あそこが類の席だったんだな)
教室に戻ると席替えをした。
窓際の席。隣は
「よろしく、日比谷」
「どうも」
3学期始まってすぐの校内テスト。
学年一位は麻倉という男子。
でも少しも嬉しくないように見えた。
そしてあっという間に時間は流れて3月。
蓮は卒業して大学へ。
みんな揃って生徒指導室でお昼を食べていたのがなぜか懐かしい。
「日比谷」
「なに、立花」
1時間目が終わった休み時間。
私の机の前にしゃがんで目線を合わせる
立花。
「昼休み、空いてる?」
「え、まぁ空いてるけど」
(なんのようだろう)
「昼飯食べる前にさ」
ガタッと腰を上げて、耳元に顔を寄せて
囁く。
「告白したいから生徒指導室にきて」
耳にかかる息が妙にくすぐったい。
(告白ってなんの?)
「わかった。」
立花は満足げに私の席から離れて隣に
座る。
休み時間のうちに雪希に今日は自分のクラスで食べてとメールしておこう。
クラスメイトの反応は、
(立花が日比谷にまたちょっかいかけてる)
だった。
ー昼休みー
生徒指導室。
ちょうど空いていて空室の札をひっくり返す。
「それで告白ってなに?」
「前にも言ったけど俺は日比谷のことが好きだ。」
「うん、知ってる」
できるだけ落ち着いた優しい声で返す。
「卒業までに落とすって言った。」
「覚えてるよ」
「でも舞はとっくに堕ちてるんだろ。」
「うん、よくわかるね」
「Rainbow Rose以上じゃないけど
クラスメイト以上に舞のことを
見てきたからね」
「私、そんなにわかりやすい?」
「いや、普通のクラスメイトなら気づかない。でも好きなやつの恋情の視線なら気づく。おれじゃないって」
「うん、私好きな人がいる」
「随分あっさりというんだな」
最後まで言わないと思ったのか、
若干引いていた。
「だって分かってるんだし、誤魔化す
必要ないでしょ。」
「そうだけど。いいのか?
俺他にバラすかもしれないぞ。」
「そうだけど。いいのか?
俺他にバラすかもしれないぞ」
「芋蔓式に立花自身も危ない。
そんなことしないでしょ」
「よく分かってるね」
ニコニコしていた立花。
次はどうするのかとぼんやり考えていたら私は立花の腕の中にいた。
「立花?」
「ごめん、でもこれくらいいいだろ?」
珍しくしおらしい声に好きにさせる。
「俺は本気で舞の恋人になりたかった。
ダメだったら俺がもらう。
うまくいったら友達付き合いくらいは
させて。あとこれっきりでいいから名前を呼んでくれ。」
「うん、好きになってくれて
ありがとう。樹」
(はっきり言って迷惑なのは今も変わらない。でもその気持ちにきちんと返事をしなきゃと思うくらい成長させてくれたんだな)
それから立花との駆け引きはなく、
友達としての付き合いをしている。
そして時は2年後まで足早にかける。