虹色のバラが咲く場所は

44話 どうもしないよ

学校祭の片付けが終わり蓮と寮に帰る。
「「ただいま~」」
あれ、返事がない。
先に帰ってるはずなんだけど。
不思議に思いながら中に入ると
類がソファでうたた寝していた。
蓮は気にも留めず2階に上がっていった。
そんな類をみていると私も眠くなり
ゆっくり隣に座り目を瞑る。

俺が一階に降りると類と舞がソファで寝ていた。なんか面白くない、というか、苛立つ
自分がいる。
「いや、まさかな」
そう呟き考えを消すように頭を振る。
俺の部屋から薄手の毛布を持ってきて2人にそっとかける。


俺が目を覚ますと、隣で舞が寄りかかって
寝ていた。
(通りで重さを感じるわけだ)
苦笑して、時計を見るとあれから1時間くらい経っていた、
(くたくたの舞を起こすのはな)

仕方ないので舞が起きるまでそのままでいることにした。
ため息をつきしばらく動かないでいると
「ん、」
舞が目を覚ます。数秒して思考回路が
正常になったのか
「あ、ごめん、類。
思いっきり寄りかかってた」
すぐさま、体を起こし謝ってきた。

「大丈夫だよ。」
「あのさ、明日の学校祭来るでしょ?」
「え、そのつもりだけど」
「ちょっとお願いがあるんだけど」
そう言った途端、舞は眉を顰めた、
「え、ヤダ」
「うわ、即答。あのさ、学祭で
フォークダンス踊るんだけど」
「ヤダって言ったよね?」
「それで男女の人数が合わなくて俺
余っちゃって」
「聞いて!?」
舞の声をスルー。

「舞、相手役として踊ってくれる?」
「え、嫌だ」
「いいの?こっちは舞の弱みを握ってるんだけど」
「弱みって何!?」
「言っちゃったら弱みにならないじゃん」
(まぁ弱みなんて握ってないけど)
すごく顰めっ面して口に出した。
「わかった、やる」

そして、翌日。
私は類に言われた体育館へ。
(制服で来ちゃったけどいいのかな)
「舞、」
声が聞こえた方を見ると類が手を振っていた
類も制服姿だ。
「よかった、場所わかったんだね」
「まぁね」
(2、3回ぐるぐる回ってたけどね)
「渡り廊下とかないから大変だっただろ」
「うん、あ、」
口を抑え、類を見るとニヤついていた。
「へぇ~。素直だね」
「いつも素直だと思うけど」
口を尖らせると、類はクスリと笑う。
ステージの方がさわがしくなる「さて、そろそろ時間だから、行こうか」
「エスコートさせてくださいね、お姫様」
類はそういうと私の手を取りキスをするフリをした。
かなりギリギリの距離で。

「どうしたの、舞?」
舞は頬を染めていた。
「これも、演出?」
「まぁね」
澄ました顔で言うと
「そっか」
小さくつぶやいて、手を差し出す
「エスコートしてくれるんでしょ」
(スルーするかと思ったらのってくれた)
「ええ、喜んで」
舞の手を取りみんなのところへ歩き出す

「あいつが相手?」
「知ってる、前デートしてた子」
「マジで、あいつに彼女?」
ひそひそと囁かれ、クスクスと聞こえる。
(そうだ、面白いことやろう)

「彼女(チームメイト)だけど、文句ある?」
爽やかな顔で言うと阿鼻叫喚。
「あんな奴に彼女とかふざけんなよ」
「しかもめっちゃ可愛いし」
「絶対、俺の方がモテるのに」
と地獄絵図と化した。
チラッと舞を見ると、すごい冷めた目をしていた。
(なんで嘘ついたのって思ってんだろな)

(やっぱり、腹黒いな)
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