虹色のバラが咲く場所は
52話 隣で寝てもいい?
あの後僕はどうしても帰る気にはなれず、
祖父母の家へ。
電車で訳1時間。電車を1時間も乗れば景色はガラッと変わる。
呼び鈴を鳴らし、しばらくすると
「はーい、どちら様で、・・・
雪希、どうしたの?」
「ごめん、急に来て。ばあちゃん、今晩
泊まっていい?」
「それは、構わないけど、何かあった?」
驚きながらもばあちゃんは快く受け入れてくれた
「ちょっとね」
家に上がり、畳の部屋に寝転ぶ。
なにも変わってないな、まぁ3ヶ月でガラッと変わってたらそれはそれで怖い。
「じいちゃんは?」
上がってきたばあちゃんに寝転んだまま聞く
「じいちゃんは裏の畑にいるけど」
「ふーん」
(スマホ、持ってくれば良かった)
「まぁ、いっか」
久しぶりに家の周りを散歩することにした。
冷たい空気が何故か心地よく感じる。
(ここら辺は静かだ。時折車の通る音が聞こえるくらいで。
ひっきりなしに聞こえる電車や、人に揉まれる心配もない。
僕たちは、これでいいのだろうか)
家に帰り、じいちゃんが使ってるパソコン
を開く。
(暇つぶしになにか無料のゲームでもやろうかな)
トップ画にはさまざまなエンタメが載っている。
「ゲームするつもりだったけど、」
探究心というか興味が湧いたというか、
なんて言えばわからないが。検索欄に
「アイドル 事故」
と入力すると、さまざまなものがヒットする。
1番上に
ライブ中に照明落下、点検ミスか。重傷者...
クリックすると、さっきのことが載っていた
下にスクロールすると、コメント欄にたどり着く。
最初の方は心配するコメントが多かったが下に行くたびに誹謗中傷が目立つようになる。
僕や事務所のこともあったが圧倒的に多かったのは、
類のことだった。
(リーダーだからってなんでこんなに言われなきゃ、)
「リーダー、」
ーリーダーの肩書を背負ってる俺の気持ちは雪希にはわからないよー
もしかしてこれを見て、
「僕、なんて言った。」
ーリーダーなのがそんなにえらいの!?ー
「類の苦悩をなにも知らないであんなこと言って、自分の気持ちを押しつけて。
最低だ、僕。ごめん、ごめん類。
ごめんなさい」
ー夜ー
「じいちゃん、隣で寝てもいい?」
「構わない」
横に少しずれ僕のスペースを開けてくれて
そこに潜り込む。
「今日、平日ってわかってるよね」
「まだそこまでボケてない」
じいちゃんは笑って言った
「学校、どうしたとか聞かないの?」
「学校なんてただの箱庭だ。
学校以外でも勉強はできる。
それに遊びで学ぶことだって多々ある。
勉強より、学校に行くより大事なことなんてこれからたくさんある。
大事なことを終わらせてからでもきっと遅くはないと思う。」
「そうなの?」
「俺だってガキの頃は学校に行くのが
億劫で母さんに怒鳴られても行く気になれず
学校に行くふりして山に行ったり川に行ったりしてたな」
「え、でも教師してたんでしょ?」
じいちゃんは昔教師をしていた。
今は退職しているが、週に3日、
学童保育の職員をしている。
「まぁな。でもそれがバレて親父から
大目玉喰らってひきづられて学校に行って。
俺の頭を無理やり抑えつけて、先生に謝るのと同時に俺のことを出来損ないのダメな奴
とか言って。
言い過ぎかもしれないけど俺の存在を
否定されてるなって内心、もうどうでもいいって思った時、教育実習生が親父に言ったんだ。」
「学校なんてただの箱庭だ、って?」
「ああ、今思えばそれに感化されたんだな
人が変わったように勉強するようになった。
ときどきだが学校に行くようになって。
あの人みたいになりたいって思ったのと
同時に恋に落ちた。
あの人と同じ道に進む決意をして、
教師になったんだ。」
懐かしむように言った後諭すように僕に
言った。
「ほんのちょっとした些細なことで導火線に火はつくんだ。
たまには逃げちゃえ、サボっていい。
頑張ることと同じくらいに休むことも大事なんだよ」
「じいちゃん、その人とはそのあとどうなったの?」
「俺が教育実習生になった時の担当教官が
その人になったんだ」
「あの人、その人って名前知らないの?」
「知ってるよ、千春さん」
「千春、え、まさか、ばあちゃん!?」
祖父母の家へ。
電車で訳1時間。電車を1時間も乗れば景色はガラッと変わる。
呼び鈴を鳴らし、しばらくすると
「はーい、どちら様で、・・・
雪希、どうしたの?」
「ごめん、急に来て。ばあちゃん、今晩
泊まっていい?」
「それは、構わないけど、何かあった?」
驚きながらもばあちゃんは快く受け入れてくれた
「ちょっとね」
家に上がり、畳の部屋に寝転ぶ。
なにも変わってないな、まぁ3ヶ月でガラッと変わってたらそれはそれで怖い。
「じいちゃんは?」
上がってきたばあちゃんに寝転んだまま聞く
「じいちゃんは裏の畑にいるけど」
「ふーん」
(スマホ、持ってくれば良かった)
「まぁ、いっか」
久しぶりに家の周りを散歩することにした。
冷たい空気が何故か心地よく感じる。
(ここら辺は静かだ。時折車の通る音が聞こえるくらいで。
ひっきりなしに聞こえる電車や、人に揉まれる心配もない。
僕たちは、これでいいのだろうか)
家に帰り、じいちゃんが使ってるパソコン
を開く。
(暇つぶしになにか無料のゲームでもやろうかな)
トップ画にはさまざまなエンタメが載っている。
「ゲームするつもりだったけど、」
探究心というか興味が湧いたというか、
なんて言えばわからないが。検索欄に
「アイドル 事故」
と入力すると、さまざまなものがヒットする。
1番上に
ライブ中に照明落下、点検ミスか。重傷者...
クリックすると、さっきのことが載っていた
下にスクロールすると、コメント欄にたどり着く。
最初の方は心配するコメントが多かったが下に行くたびに誹謗中傷が目立つようになる。
僕や事務所のこともあったが圧倒的に多かったのは、
類のことだった。
(リーダーだからってなんでこんなに言われなきゃ、)
「リーダー、」
ーリーダーの肩書を背負ってる俺の気持ちは雪希にはわからないよー
もしかしてこれを見て、
「僕、なんて言った。」
ーリーダーなのがそんなにえらいの!?ー
「類の苦悩をなにも知らないであんなこと言って、自分の気持ちを押しつけて。
最低だ、僕。ごめん、ごめん類。
ごめんなさい」
ー夜ー
「じいちゃん、隣で寝てもいい?」
「構わない」
横に少しずれ僕のスペースを開けてくれて
そこに潜り込む。
「今日、平日ってわかってるよね」
「まだそこまでボケてない」
じいちゃんは笑って言った
「学校、どうしたとか聞かないの?」
「学校なんてただの箱庭だ。
学校以外でも勉強はできる。
それに遊びで学ぶことだって多々ある。
勉強より、学校に行くより大事なことなんてこれからたくさんある。
大事なことを終わらせてからでもきっと遅くはないと思う。」
「そうなの?」
「俺だってガキの頃は学校に行くのが
億劫で母さんに怒鳴られても行く気になれず
学校に行くふりして山に行ったり川に行ったりしてたな」
「え、でも教師してたんでしょ?」
じいちゃんは昔教師をしていた。
今は退職しているが、週に3日、
学童保育の職員をしている。
「まぁな。でもそれがバレて親父から
大目玉喰らってひきづられて学校に行って。
俺の頭を無理やり抑えつけて、先生に謝るのと同時に俺のことを出来損ないのダメな奴
とか言って。
言い過ぎかもしれないけど俺の存在を
否定されてるなって内心、もうどうでもいいって思った時、教育実習生が親父に言ったんだ。」
「学校なんてただの箱庭だ、って?」
「ああ、今思えばそれに感化されたんだな
人が変わったように勉強するようになった。
ときどきだが学校に行くようになって。
あの人みたいになりたいって思ったのと
同時に恋に落ちた。
あの人と同じ道に進む決意をして、
教師になったんだ。」
懐かしむように言った後諭すように僕に
言った。
「ほんのちょっとした些細なことで導火線に火はつくんだ。
たまには逃げちゃえ、サボっていい。
頑張ることと同じくらいに休むことも大事なんだよ」
「じいちゃん、その人とはそのあとどうなったの?」
「俺が教育実習生になった時の担当教官が
その人になったんだ」
「あの人、その人って名前知らないの?」
「知ってるよ、千春さん」
「千春、え、まさか、ばあちゃん!?」