虹色のバラが咲く場所は

61話 仲間なんだから

翌日はレッスンが休みだったので、学校帰りに病院へ行くことに。
寮に着いてから行くと二度手間なので、各々
学校から病院に行くことに。
(距離的に私が1番遠いのかな)
最寄駅で降りて走っていくともう雪希が
ついていた。

「ごめん、遅れた」
「全然大丈夫だよ」
「類も一緒かと思ってた」
「距離的に1番近いのは類なのにね」
ピロン
駄弁っていると、類からメールが。
ごめん。急に委員会が入っちゃって、
先、行っててくれ
「先行こうか」
「そうだね」
「そうだ、僕売店寄ってくから先行ってて」
「分かった」
雪希と別れて蓮の病室へ。
「れ、蓮」
蓮はベットにもたれかかっていた。

私の声にこっちを向くと蓮はにこりと笑った
「舞、平気だったのか」
蓮の言葉に私はなにも返せず一歩、また一歩と近づく。
触れられる距離まで行くと、蓮は私の頬に手を伸ばし、優しく撫でる。

その手に触れて
「怪我させてごめん、
守ってくれてありがとう」
そういうと眉を下げて
「当たり前だろ?仲間なんだから」
その言葉に耐えられず涙を流す
「え?ま、舞!?ど、どうした?」
「い、いろいろ、あって」
「いろいろ!?」
泣き続ける私の頭を蓮は優しく撫でてくれる

なんで舞が泣いてるのか分からないが放っておくわけにもいかず、とりあえず泣き止むまで頭を撫でることにした。
テーブルの上に置いてあるタオルを渡すと
顔に押し付けた。

数分後、
「治まったか?」
「とりあえず」
まだ若干鼻を啜ってはいるが落ち着いたらしい。
(すげータオル濡れたな)
舞と駄弁ること数十分。
「あ、蓮。起きたんだ」
「さっき類と合流したんだ。おはよう、蓮」
「うん、心配かけてごめんな」
「雪希、すごく時間かかってなかった?」
「まぁね、」

(舞が泣いてる間、ずっと廊下にいたの知ってるけどわざわざ言わなくていいか)
「あなたたち、もう少し、」
看護婦さんか何かを言ってる途中で固まった。
「目が覚めたのね、よかったわ。
先生、呼んでくるわね」
看護婦さんは踵を返したが立ち止まった。
「ひとつ、聞いてもいいかしら?」
「え、はい」
「あなたたち、Rainbow Rose?」
「あ、はい」
看護婦さんが小さくガッツポーズをしたのを
見逃さなかった。

先生を呼ぶために部屋を出ると私の足は
浮き立つ。
(本当に本物だ、やっぱり生は違うな。
姪っ子がハマって見てみたけど私もハマっちゃった。雪希ちゃんと舞ちゃん可愛い、
蓮くんと類くんもかっこいい、
若いっていいな。ヤバっ
口角あがっちゃう、気をつけないと。)

すれ違う看護師たちは思った。
(看護婦長、どうしたんだろう。いつも怖い顔してるのに今日はこの上ないくらい笑顔)
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