虹色のバラが咲く場所は
62話 元気でね
先生が来たから舞たちは追い出された。
若干、肩が痛くて診てもらったが骨に異常はないと言われた。頭の傷もほとんど目立たないと言っていたのでホッとする。
点滴も外してもらいすごく楽になった。
退院は明後日だと言われた。
一緒にいた看護婦さんを呼び止め、
「あの、すみません。彼女たちの他に
俺の様子を見に来た人っていますか?」
不思議そうな顔で看護婦さんは
「お母様から荷物を預かったの、その時
一目でもって言ったんだけど、仕事が忙しいからって」
「そう、ですか」
「どうかしたの?」
「あ、いえ。変なこと聞いてすみませんでした」
そういうとニコリとして出て行った。
「なにを、期待してんだろう」
その後、舞たちは面会時間終了だからと
帰ってしまった。
夕食はお粥、小さめの豆腐ハンバーグ、オムレツ、ほうれん草のおひたし。
(胃に負担をかけないからだろうけど、
もうちょい味濃い方がいいな)
「明日の夕飯はガッツリ食べたいな、
トンカツとか」
シャワーの使用許可は先生が来てから降りていたので、シャワー室へ。
髪を洗う時、結構気をつけたが染みたりとかは全然なく取り越し苦労だった。
肩が少し青黒くなってて、ギョッとする。
ふと鏡で自分を見る。
(俺はチームに必要なのか?)
いや、やめよう。心にできた暗雲をかき消すように頭を振る。
翌日の朝
「元気でね」
と言う看護婦さんに
「お世話になりました」
と感謝を述べて病室を出る。
ロビーに行くと
「母さん」
険しい顔をした母さんが立っていた。
母さんが退院の手続きをして病院を後にする
「この後はどうするの、」
「え、あ、一回家に戻ってから寮に行くよ」
肩にかけている荷物をかけ直し答える。
「そう、悪いけど家の前で降りてね。
仕事を抜けてきたから、すぐに戻らないと」
俺を見ずに淡々と答える母さん。
「ごめんなさい、迷惑かけて」
とりあえず謝っとく。
「本当よ、あなたは迷惑しかかけないんだから」
今に始まったことじゃない、
母さんは昔から仕事人間だ。誕生日も俺母さんにとっては平日。
運動会も入学式も一度も来てもらった覚えがない。
誕生日プレゼントで盛り上がったり運動会で家族でお弁当を食べたり、
2位でも頑張ったね、
と褒められるクラスメイトが羨ましかった。
家の前で降りて荷物を肩にかけてからドアを閉めるとすぐに走り出した。
家に入ると
「父さん、」
平日なのに父さんがいる。
「父さん、どうして家にいるの、」
「お前が心配だからだよ」
父さんは微笑んで言った。
「心配、」
少し心が揺らぐ、
「うまくやれてるか」
「え、」
「前から失敗ばかり。自分からアイドルをやりたいって言った時は驚いた。自分で何かをやりたいっていうのは初めてだから」
初めて?何言ってんだ、4年前サッカークラブに入りたいって言ったら危ないからダメだってやらせてくれなかった。
その前はスケボーをやりたいって言ったら
向いてないってやらせてくれなかった。
「ずっとやりたいって言ってたよ、
サッカーもスケボーも。」
「そうだっけ?」
「なら、なんでアイドルをやることは
賛成してくれた。」
「だって売れたら有名になれるだろ?」
少しでも期待した俺が馬鹿だった。
若干、肩が痛くて診てもらったが骨に異常はないと言われた。頭の傷もほとんど目立たないと言っていたのでホッとする。
点滴も外してもらいすごく楽になった。
退院は明後日だと言われた。
一緒にいた看護婦さんを呼び止め、
「あの、すみません。彼女たちの他に
俺の様子を見に来た人っていますか?」
不思議そうな顔で看護婦さんは
「お母様から荷物を預かったの、その時
一目でもって言ったんだけど、仕事が忙しいからって」
「そう、ですか」
「どうかしたの?」
「あ、いえ。変なこと聞いてすみませんでした」
そういうとニコリとして出て行った。
「なにを、期待してんだろう」
その後、舞たちは面会時間終了だからと
帰ってしまった。
夕食はお粥、小さめの豆腐ハンバーグ、オムレツ、ほうれん草のおひたし。
(胃に負担をかけないからだろうけど、
もうちょい味濃い方がいいな)
「明日の夕飯はガッツリ食べたいな、
トンカツとか」
シャワーの使用許可は先生が来てから降りていたので、シャワー室へ。
髪を洗う時、結構気をつけたが染みたりとかは全然なく取り越し苦労だった。
肩が少し青黒くなってて、ギョッとする。
ふと鏡で自分を見る。
(俺はチームに必要なのか?)
いや、やめよう。心にできた暗雲をかき消すように頭を振る。
翌日の朝
「元気でね」
と言う看護婦さんに
「お世話になりました」
と感謝を述べて病室を出る。
ロビーに行くと
「母さん」
険しい顔をした母さんが立っていた。
母さんが退院の手続きをして病院を後にする
「この後はどうするの、」
「え、あ、一回家に戻ってから寮に行くよ」
肩にかけている荷物をかけ直し答える。
「そう、悪いけど家の前で降りてね。
仕事を抜けてきたから、すぐに戻らないと」
俺を見ずに淡々と答える母さん。
「ごめんなさい、迷惑かけて」
とりあえず謝っとく。
「本当よ、あなたは迷惑しかかけないんだから」
今に始まったことじゃない、
母さんは昔から仕事人間だ。誕生日も俺母さんにとっては平日。
運動会も入学式も一度も来てもらった覚えがない。
誕生日プレゼントで盛り上がったり運動会で家族でお弁当を食べたり、
2位でも頑張ったね、
と褒められるクラスメイトが羨ましかった。
家の前で降りて荷物を肩にかけてからドアを閉めるとすぐに走り出した。
家に入ると
「父さん、」
平日なのに父さんがいる。
「父さん、どうして家にいるの、」
「お前が心配だからだよ」
父さんは微笑んで言った。
「心配、」
少し心が揺らぐ、
「うまくやれてるか」
「え、」
「前から失敗ばかり。自分からアイドルをやりたいって言った時は驚いた。自分で何かをやりたいっていうのは初めてだから」
初めて?何言ってんだ、4年前サッカークラブに入りたいって言ったら危ないからダメだってやらせてくれなかった。
その前はスケボーをやりたいって言ったら
向いてないってやらせてくれなかった。
「ずっとやりたいって言ってたよ、
サッカーもスケボーも。」
「そうだっけ?」
「なら、なんでアイドルをやることは
賛成してくれた。」
「だって売れたら有名になれるだろ?」
少しでも期待した俺が馬鹿だった。