虹色のバラが咲く場所は
99話 複雑
僕は邪魔にならない場所の畳に座る。
「あの、どうしたんですか?」
「咲はね、私の甥っ子なんだ」
(え?)
突然の言葉になんで答えればいいのか
わからなかった。
「咲は私の姉さんの子供で4年前、家庭の
事情で私と夫が引き取ったんだ。
当初はちょっとしたことでも怯えたり、
泣いたり、かなり不安定だったけど今は
そんなことはなくて、今こうしてお友達
までできていることが嬉しくて」
小春さんは懐かしむように目を細めて言った
「これからも咲のことをよろしく
お願いします」
「え、あ、はい。」
(この返しで合ってるのかな)
「でも初めて連れてきた子が
彼女なんて複雑・・・」
「か、」
(まぁデニムワンピース着てるから女の子だと思われるのは当たり前だけど彼女か、)
にこにこしていたから本当のことは言わずに
彼女じゃないことを伝えたら少ししょんぼりしていた。
(これで僕の性別を知ったら
どう思うんだろう)
咲の学校生活はどう?とか
気になる子とかいるのかな?とか怒涛の勢い
で質問されて少し引いた。同時に少し
羨ましく思った。
(母さんともこんな風に話せたらな)
数十分後。
「ありがとうございました」
「またいつでも来てね。雪希ちゃん」
「はい」
玄関で手を振る椿さんにお辞儀して
歩き出す。
「流石に言えるのはあそこまでだよね」
咲を引き取ったとき、彼はガリガリに痩せていて至る所にアザや火傷の跡があった。
物音ひとつで異常なほどに怯えて、
出来立てのご飯、温かいお風呂、清潔な寝具
に驚いた。
私が咲に話題を振るといつも自分の意見を言う前に私の顔色を伺っていた。
そして半年ほど経って咲が落ち着いた頃
「あのさ、もう1人の僕に会ってくれる?」
「うん」
(普通に返事しちゃったけど、
もう1人って?)
そして咲は目を閉じてもう一度開ける。
「はじめまして、椿さん。サクです。」
正直お遊びかと思ってた。
でも今、目の前にいるのは明らかに咲
じゃない。
そしてサクから咲の過去を知った。
父親に暴力を受けていたこと、母親から精神
攻撃を受けたこと。
(姉さんがそんなことするとは思えない。
でも初めて会った時のことを考えれば
間違いじゃないんだ)
「咲は暴力を受けている間、僕に人格を
変えていました。痛い感覚も記憶も僕にあって咲にはありません。まぁ、そのために
創られたから文句は言えませんが。でもこの半年間咲は僕を呼ばなかった。それがあなたが危険人物ではないという証明です。
たまに咲が僕に変えることがこの先もあるかもしれないしないかもしれません。
ですがその時はよろしくお願いします。」
「うん、わかった。よろしくね、サク」
「あの、どうしたんですか?」
「咲はね、私の甥っ子なんだ」
(え?)
突然の言葉になんで答えればいいのか
わからなかった。
「咲は私の姉さんの子供で4年前、家庭の
事情で私と夫が引き取ったんだ。
当初はちょっとしたことでも怯えたり、
泣いたり、かなり不安定だったけど今は
そんなことはなくて、今こうしてお友達
までできていることが嬉しくて」
小春さんは懐かしむように目を細めて言った
「これからも咲のことをよろしく
お願いします」
「え、あ、はい。」
(この返しで合ってるのかな)
「でも初めて連れてきた子が
彼女なんて複雑・・・」
「か、」
(まぁデニムワンピース着てるから女の子だと思われるのは当たり前だけど彼女か、)
にこにこしていたから本当のことは言わずに
彼女じゃないことを伝えたら少ししょんぼりしていた。
(これで僕の性別を知ったら
どう思うんだろう)
咲の学校生活はどう?とか
気になる子とかいるのかな?とか怒涛の勢い
で質問されて少し引いた。同時に少し
羨ましく思った。
(母さんともこんな風に話せたらな)
数十分後。
「ありがとうございました」
「またいつでも来てね。雪希ちゃん」
「はい」
玄関で手を振る椿さんにお辞儀して
歩き出す。
「流石に言えるのはあそこまでだよね」
咲を引き取ったとき、彼はガリガリに痩せていて至る所にアザや火傷の跡があった。
物音ひとつで異常なほどに怯えて、
出来立てのご飯、温かいお風呂、清潔な寝具
に驚いた。
私が咲に話題を振るといつも自分の意見を言う前に私の顔色を伺っていた。
そして半年ほど経って咲が落ち着いた頃
「あのさ、もう1人の僕に会ってくれる?」
「うん」
(普通に返事しちゃったけど、
もう1人って?)
そして咲は目を閉じてもう一度開ける。
「はじめまして、椿さん。サクです。」
正直お遊びかと思ってた。
でも今、目の前にいるのは明らかに咲
じゃない。
そしてサクから咲の過去を知った。
父親に暴力を受けていたこと、母親から精神
攻撃を受けたこと。
(姉さんがそんなことするとは思えない。
でも初めて会った時のことを考えれば
間違いじゃないんだ)
「咲は暴力を受けている間、僕に人格を
変えていました。痛い感覚も記憶も僕にあって咲にはありません。まぁ、そのために
創られたから文句は言えませんが。でもこの半年間咲は僕を呼ばなかった。それがあなたが危険人物ではないという証明です。
たまに咲が僕に変えることがこの先もあるかもしれないしないかもしれません。
ですがその時はよろしくお願いします。」
「うん、わかった。よろしくね、サク」