隠していた想いを伝える時
1.
雨が降る公園で
ポツポツと静かに雨が降ってきた。
公園のベンチに座り込み、雨粒が自分の服を濡らす様子をみつめる。
今朝は大事な講義があることを忘れて寝坊をしてしまい、天気予報を確認しないで家を出てきたことを思い出した。
…最悪。今日は本当についていない。
相田 莉乃。大学一年生。
私は今、半年付き合った彼氏に振られた。
彼氏とは付き合ってもうすぐ半年だし、特に喧嘩をしたこともなくて仲がいいと思っていた。
今日も講義が終わったら改まって話したいことがあると言われたから、今度の記念日のことでも話すのかな、なんて思っていたくらい。本当に突然の別れ話だった。
呼び出されたのは大学の近くの公園。
話が終わった後、しばらく公園のベンチに座り込んでいたら雨が降ってきた。
ポツポツ、と降るくらいだった雨は、小雨からどんどん強くなる。
傘を持っていなかった私は、この時点で帰ればよかったのになぜかこのベンチから動くことができなかった。
しばらく雨に濡れて、ようやく帰る気になって時間を見ようとスマホを手にしたら、手から滑りそのまま地面に落としてしまった。
慌てて拾ったけど画面はバリバリに割れてしまっている。
そんなスマホをみて、また動く気がなくなってしまった私は、こうなったらとことん濡れてしまおうと思って、ベンチに座り直した。