隠していた想いを伝える時


「あっ…、待って…」

小さく呟いた私の声が届いているはずなのに、槙田くんは止めることなく私の身体を優しく撫でるように触れてくる。


「元彼とは、もうシタの?」

「んっ、ま、だ…。してな…っ、」

敏感なところに触れられてそう聞かれれば、身体が反応してしまって声が震えた。

「じゃあ俺がはじめて、だね」

槙田くんは嬉しそうに笑うと、さらに私の身体に触れてきた。


「雨に濡れて震えていた相田さんもすごく可愛かったけど、こうやって身体を熱くして、震えている相田さんはもっと可愛いね」

槙田くんが私を見つめる目はとても熱くて、だけど、どこか優しくて…。まるで本当に槙田くんに愛されていると錯覚してしまいそうになるほど甘かった。


怖い、怖い…。だけど、やめてほしくない。

フワフワして、すごく気持ちがよくて、もっとして欲しいだなんて思っている自分がいた。

自分の身体なのに、心と身体がバラバラになってしまったみたいだ。


「はぁ…。相田さん、かわいい…」

声や表情から、槙田くんの方にも余裕がなくなってきているのが分かる。


槙田くんは避妊具に手を伸ばした。

この時、少しだけ解放された私は、逃げようと思えば逃げることができた。

でも熱くなってしまった身体は、もう槙田くんから逃げようなんて思わなかった。


そんな私の気持ちに気付いたのか、槙田くんは私を抱き抱えてベッドへと運ぶ。

「相田さんのはじめては、俺がもらうから」

槙田くんはそっと私をベッドに寝かせると、優しく笑ってキスをした……。





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