逆ハーレム戦隊 シャドウファイブ

15 廃墟の罠

 一週間近く働くと流石に私も忙しさになれ、笑顔で仕事ができるようになった。改めて『イタリアントマト』は明るくて楽しい賑やかなイタリアンレストランだと思った。
美味しさはもちろんだけど食べた後に元気になる。シャドウファイブのリーダーである赤斗さんそのもののようなお店だ。
さっきも注文書の字を綺麗で読みやすいと褒めてくれ、やる気をさらに上げてくれた。一生懸命に働いて美味しいものを食べる日々はとても幸せだ。

「桃香ちゃん、お疲れ様。明日は休みだけどごめんね、廃墟探索付き合ってね」
「大丈夫です。楽しかったし、とっても美味しかったし」
「ありがと。すごく助かった。また来て欲しいよ。桃香ちゃんがいると店の雰囲気が良くなるよ」
「こちらこそ」

これでシャドウファイブのメンバーのお店全部で働いた。気に入ったところがあれば、そこでずっと働いてくれたらいいよと言ってくれているがさて、どうしよう。どのお店もすごく楽しかった。それぞれのメンバーのように魅力的で選ぶのに困る。かといって、そこ以外のところを改めて探そうかと思う気持ちにもなれない。
これじゃしばらくローテーションで働かせてもらうことになってしまいそうだ。それはそれで迷惑かもしれない。自分はこんなに優柔不断だったとは知らなかった。考えても考えても結論が出ないのでとりあえず成り行きに任せることにした。


 次の日、メンバーたち全員で怪しい廃墟に向かう。商店街から数キロ離れたその廃墟は、建物はまだ立派な鉄筋コンクリート造りだが窓も扉もなく、がらんどうとしていて薄暗い。

「全然、変わっていないあ」
「うん。放置され過ぎだな」

元々、水力発電所だったそうだ。発電のための水が不足したために閉鎖された。

「今の子はここで遊ばないんだろうな。ほら、あそこ」
「あ、俺たちが子供の頃に使ってた机まだあるのか」

メンバーたちは口々に懐かしさを話し、あちこちを見て回る。

「待て。あそこ、ちょっとおかしくないか」

青音さんが鋭い目つきで壁の下の方の角を指さす。近づいて良く見るとコンクリートの打ちっぱなしの壁に、キラキラ光る10センチくらいの星型のタイルが埋め込んであった。

「これは、イランのラスター彩のタイルだな。比較的現代に近いものだが……」
「確かに子供の頃にはこんなものなかったよな」
「ちょっと持って帰って鑑定したいけど――」

私も見たくなって近づいた。

「なんて綺麗なお星さま」

とてもきれいなタイルだなと思って眺めていると、そのタイルの隙間がきらっと光ったように見えた。その瞬間、大量の霧が吹き出しメンバー全員に降りかかる。

「ぐっ! やばい! 罠だ!」
「息を止めろ!」
「吸うなよ」

霧が身体全体に降りかかると、来ていた洋服が全て溶かされ、バトルスーツだけが残った。

「よかったー、スーツ着といて」

安堵もつかの間、赤斗さんが「マスク装着しよう!」と素早く指示した。みんな素早くマスクをかぶる。私も少し遅れたがマスクをかぶり辺りの様子をうかがう。

「みんな、離れるなよ」
「おう」
「ピンクはシールド出しておくんだ」
「はい!」

とりあえず固まったまま、いつでも脱出できるように入口の方へと移動した。
そこへ乾いた低い男の笑い声が聞こえた。

「クックククク。初めましてかな。シャドウファイブ」

声の方に目をやると、二階への向かう階段の最上部の踊り場で全身黒づくめの男が立っている。

「お前は怪人じゃないな。ブラックシャドウか」
「レッドシャドウ。ご明察通りだ」
「なぜ、怪人を生みだし町を混乱に陥れるんだ!」

レッドシャドウの問いかけに、ブラックシャドウはククックと笑うだけで答えない。

「答えないなら、答え、ハァ、させる、ハァハァ、ま、で、だ。う、うううっ」

なんだかレッドシャドウの様子がおかしい。

「レッド、あの、どうしたんですか」
「う、くっ」

気が付くと私以外のメンバーが皆、レッドと同様に呻き始めている。

「み、みんな……」

おろおろする私に、ブラックシャドウは意外そうな声を出す。

「おや? 君には効かなかったのかな」

まさか、さっきの霧だろうか。どうしたらいいんだろうか。さっきの霧は一体何の毒なんだろうかと考えていると、またブラックシャドウが笑う。

「クックック。君は元々メンバーではないからな。このまま去るならば見逃してやろう。シャドウファイブの事は忘れてしまうがいい」
「え!?」

ブラックシャドウの言葉に私は憤りを感じた。メンバーを放って帰っていいですって? 

「私はピンクシャドウです! 仲間を置いて帰ったりしません!」
「ほおぅー。立派な心掛けだね。じゃあ頑張ればいい。わたしは君たちが自滅するのを本でも読んで待っているよ。アディオス」
「ま、待ちなさい!」

乾いた笑い声と共にブラックシャドウは消えていった。

 ここで私一人追いかけたところで何ができるのだろう。それよりもメンバーをどうにかしなきゃと、一番軽症そうなグリーンシャドウに声を掛ける。

「これ、何の毒ですか? どうしたらいいですか?」
「う、こ、これは、前にピンク、君が怪人から受けたものと、同じ、だ、うっ」
「ええっ? ま、まさか」
「ああ、催淫剤だ、ハァハァ。逃げるんだ。このままだと君の、身体も、危ない」
「そんな。私だけ逃げるわけには」

メンバー全員が催淫剤を受けてしまった。どうしよう。私は今のところ何ともないのは免疫ができているのだろうか。


「ああっーー!!」

「くあっ!」

「うぅっ!」

呻き声や叫び声と同時にバリっと布が破ける音が聞こえた。

「きゃー!! やだあー!!」

なんとメンバー全員の股間が起立によってスーツを突き破ってしまった。思わずしゃがみ込んで顔を覆った。こんなに真昼間から、大きくなった男の人のアソコなんて見たことない。しかも5人分!どうしよう。本当にどうしたらいいのかわからずに途方に暮れそうだ。

ちらりと見上げるとみんな自分のアソコを握りしめている。どうしたんだろう? 痛いのかな?
心配になり顔を上げると一斉に彼らはアソコを前後にこすり始める。

「み、みんな、どうしたの!? 平気?」

あんなに擦り上げるなんてどうしたんだろう。あそこが摩擦でひどいことになるのではないだろうか。もしかしてこれがブラックシャドウの狙いなのだろうか。メンバーの男性器を痛めつけて倒すという。

「やめて! 手を止めて!」

 私は必死に訴えかける。このままじゃ擦りすぎてアソコが痛くなるだろう。あんなスピードじゃ血が出たっておかしくない。呼びかけているとまたみんな呻き始める。ああ、やっぱり痛くなっているんだ。おろおろしていると「うっ」とブルーシャドウの声が聞こえ、振り向くと白い液が私めがけて飛んできた。

「きゃっ」

シールドでその液をかわすと、また次の白い液体が私めがけて飛んでくる。何とか5回シールドで防ぎ、そのシールドの隙間から覗くとメンバーはぐったりと横たわっていた。

「ああっ、どうしたんですか? 今も何か攻撃があったようでした」
「ごめん。攻撃じゃないんだ」

イエローシャドウがゆっくりと身体を起こす。

「俺たち自分で抜いたんだ。その、ごめん、精液が君の方に飛んでしまった」
「え! せ、精液……」

グリーンシャドウが大きくため息をつきマスクを取ると、自分の股間の上に置く。

「これしか方法がなかった。あのまま我慢し続けると、もしかしたら君を襲ってしまっていたかもしれない」
「そう、だったんですか……」

催淫剤のせいで性欲をいきなり高められた彼らは自分たちで自慰行為を行い、解消させたのだった。
確か緑丸さんのおじいさんが言っていた。『自慰行為でなんとかなる』と。
さすがはシャドウファイブと感心しているとホワイトシャドウが声を上げる。

「だめだ。またっ!」

みんな私に気を使ってマスクを破けた股間に当てているが、どうやらまた強く起立始めているらしい。

「ピンクの時は、3回だった、な」
「う、ん。後2回抜けばなんとか、なるか」
「あ、うっ、ふっ」

私はみんなの行為を直視できず、背を向けて終わるのを静かに待つ。どうかみんな早くすっきりしますように。
しばらくしてもなかなか終わらず心配していると、グリーンシャドウが呻くようにつぶやいた。

「これは……。改良されてる、ふぅ。同じ刺激じゃ、ふっ、うっ、イケない……」
「だ、よな……」
「ちっとも出せる気配が、な、い」

聞き耳を立てていると、どうやら同じ刺激では射精することが不可能らしい。なんてひどい催淫剤を作るんだろう。どうしてこんなことをするんだろう。ブラックシャドウに激しい憤りを感じ、またメンバーが心配になる。

「あの、私に何かできることがあるでしょうか?」

私の言葉に一斉にメンバーが振り向いた。

「ピンク……」
「俺たちの、ピンク……」
「みんなのピンク……」

マスクごとアソコを握りしめ、苦痛に歪む表情を見せるシャドウファイブを初めて見る。

「私、なんでもします!」

ブルーシャドウがすっと私の手をとる。

「手を」
「はい!」
「手を貸してくれ」
「はい! え? 手?」

ブルーシャドウは硬く大きくそびえ立つ熱いアソコを私に握らせた。

「あっ!」
「す、ま、ない。あぁ、ううぅ、ふうっ」

続いてイエローシャドウもやってくる。

「ごめんっ、俺も手を貸して」

もう片方の手にも同じように熱く硬い起立を感じる。後の3人は苦痛に耐え、順番を待っているようだがもう彼らを待たせることが私には辛くなっていた。

「ちょっと、すみません」

そっと二人の熱い起立から手を放し、私はマスクをとって枕にし横たわった。

「私を使ってください!」

ざわっとざわめきが聞こえ、私は目を閉じる。

「ありがとう。ピンク」
「ごめん、ね」

両手に熱い棒を感じ、胸にも何か硬いものが当たる。唇にもそっと熱を感じた。誰のがどうなっているのかはわからない。だけどみんな射精をしなければ苦痛なのだ。この辛さは私も経験しているからよくわかる。もどかしくて疼いてとてもつらかった。
 彼らは紳士だから私を乱暴に扱うことは絶対にないと信じている。だからこそ、身体を使ってと委ねられたのだった。

 手の中では熱い棒が擦られる。私はそっと握りしめ一緒に上下にこすった。唇に添えられたものには舌を這わせる。そして胸がなるべく大きくなるように両脇を閉め、中央に寄せる。
やがてまた彼らの呻き声が聞こえ始めた。

「うぅっ」
「はぅっ、はぁはぁ」
「んんっ!」

どうやらみんな達することが出来たようだ。身体を起こすとメンバーの顔は紅潮していたが表情は和らいでいた。

「どう、ですか?」

ホッとしたのは束の間だった。

「だめだ! やっぱり2回じゃおさまらない!」
「くそっ!」

まだ彼らの性欲は収まらなかった。私の周りでは赤、青、緑、黄、白の立派なテントが張り巡らされている。
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