逆ハーレム戦隊 シャドウファイブ
17 ピンクシャドウ対ブラックシャドウ
コツコツという足音と共に、暗がりから黒尽くめの男が姿を現す。ブラックシャドウだ。逆光のため顔はよく見えないが、つばの広い黒い帽子に、黒い実験衣を着ていて片手には分厚い本を持っている。
「うーん。ちょっと想定外だったかな。君を奪うために争うかと思ったんだが」
「シャドウファイブのみんなは、ハアハア、紳士です。そんなことしません!」
「クックック。紳士ねえ。イケメン面に騙されているだけじゃないのか? 女はすぐ見てくれに騙されるからな」
「!」
女を馬鹿にした。やっぱり許せないブラックシャドウ。
「そうですね。見てくれがいいのは内面もいいからだと思います。ハァハァ。あなたみたいに、女性を馬鹿にするような人たちではハァハァ、ありませんしね」
「ふんっ。こう見えてもわたしはフェミニストだ。君は助けてやろうかと思っていたのだがね。そろそろ身体が辛いのではないのかな?」
「はぁはぁ、ぜーんぜん大丈夫です!」
そう強がっては見たものの、身体が疼いてしょうがない。前回と違うのは精神面が身体の欲望に負けてしまわないことだ。
「クックック。まあいい。時間の問題だ。さてまず動けないシャドウファイブたちから怪人に改造してやるとするか」
まずい。このままではブラックシャドウに怪人にされてしまう。戦闘力のない私はどうすればいいのだろう。でも私しか戦えない。
「待ちなさい! 私が相手です! トウッ!」
とにかく気合を入れて勢いをつけジャンプし、ブラックシャドウの前に立ちはだかる。バトルスーツのおかげで乏しい運動神経の私でも、少しだけパワーアップされるのだ。
「ほう。わたしと戦おうというのかね」
ブラックシャドウは武器を持っていないし、怪人を作り、その怪人に戦わせるから、本人は非戦闘員と私は考えた。それならば、なんとかなるのではと思ったが、さてどうやって戦えばいいのか、どうしたら倒せるものなのか分からない。
「えーっと」
そうこうしているうちに、身体がますます疼き、ブラックシャドウが近づいてきた。
「クックックック。ほら、こうしてやろう」
「きゃっ!」
大きく尖ってツンツンになっていた敏感な乳首を両方、指先で撫でられた。スーツの上からなのに、甘い疼きを感じてしまった。
「そんな身体で何をしようと言うのかね? オナニーショーでもするというなら見てやっても構わないがね。クックック」
「くぅー。このセクハラ男っ!」
もう、頭にきた。こんなに腹の立つ男の人に初めて会った。今まで誰かに対してこんなに怒りを感じたことがなかった。
「シールドオン!」
ブィーンと鈍い音をさせバングルから出てきたシールドが大きくなる。手首にはめていたバングルを外し、手で握ってシールドをこぶしの上になる様に持つ。
「このぉー! この、この、この!」
私は緑丸さんのおじいさんから習っていた太極拳の打撃を、ブラックシャドウにお見舞いする。といってもまだまだ修行中なのでクリーンヒットは出ない。
「いってっ、何をする! この凶暴な女め! それでも大和なでしこか!」
「何を言ってるの? あなたこそ男らしくないじゃない!」
「ふんっ、生意気な女め。それは緑丸のじじいの技だろう」
「え? 緑丸って、今」
「はあっ!」
「きゃああっ!」
ブラックシャドウが両足と身体を開いたかと思うと、手のひらを私の胸に当て衝撃を与える。
「あぐうっ! う、く、うくっ」
なんだか苦しい。これってまさかおじいさんが言っていた発勁というものだろうか。
「これで身動きとれまい。ああ、さっきも言ったが、わたしはフェミニストだからどこも傷つけたりしていない。しばらく動けないだけだ」
「ううぅ」
倒れ込んだ私は立ち上がろうとしたが、足にも手にも力が入らない。感覚もあるし動かせるけど横たわって、にじるくらいしかできない。このままだとみんなが怪人にされてしまう。
メンバーたちはまだ熟睡中のようで、私たちの攻防の最中でも目を覚まさない。もう少し時間が欲しい。どうやって時間を稼げば……。
「ま、まって。ブラックシャドウ」
「んん? なんだ?」
「あの、もう身体が、疼いて、お願いどうにかしてください」
「クックク。自分で慰めてはどうかね?」
「手が、動かせなくて、だめなんです。もう、ほんとに、おかしくなりそう」
「ふんっ。まったく自業自得だというのに、女ってやつは手がかかる」
「フェミニスト、なんじゃ」
「まあ、そうだ。解毒剤をやるから待っていろ」
「ありがとうございます」
黒衣のポケットをカサカサまさぐり、小さな小瓶を取り出すと、ポンっと蓋を開け私の方に持ってくる。
「ほら」
「あ、あの、持てないです」
「ちっ」
ブラックっシャドウは面倒くさそうに、小瓶を私の口元にあてる。勿論、私は上手く飲めないふりをしてこぼす。
「だらしないやつだ。ちゃんと飲むんだ」
「あ、はい、すみません」
さすがに2本こぼしたので、3本目はちゃんと飲まないと、わざとだとばれてしまうだろう。これで30分以上時間を稼げたはず。
3本目の小瓶の蓋を開け、ブラックシャドウの方も今度こそ飲ませようと、私の頭を膝に乗せ、顔を固定した。そこで初めて彼の顔がはっきり見えた。
三日月眉に、あっさりとした真黒の瞳を濃いまつ毛が縁取っている。鼻筋は高く、口元はシャープだ。 シャドウファイブのメンバーに負けずとも劣らないイケメンだった。
なんでこんなにかっこいい人が悪いことするんだろう。普通正義の味方側なのではないだろうか。
「そうだ、ちゃんと飲め」
「ん、んん、うんっ」
「今度はちゃんと飲めたようだな」
少しだけこぼれた唇の端の液を、ブラックシャドウは親指で拭い、私の唇に擦り付ける。横暴な言動と裏腹に彼の態度や手付きは優しい。
本当はいい人なのではないだろうか。だって本当に悪人だったら、私をこんな風に優しく扱ったりしないと思う。
やろうと思えば暴力で私を痛めつけ、肉体を征服しようとすることだってできるだろう。
もしかしたら単純に私では、そんな気も起こさせないだけかもしれない。
「美味し……」
思わずブラックシャドウの親指に吸い付いてしまう。解毒剤は蜂蜜のように甘く美味しい。ここまで味付けする必要があるのかと思うほどだ。ブラックシャドウが私をじっと見ている。
もう催淫剤の効果は消えてくるはずなのに、また身体の奥が疼き始めていた。
「なぜ、こんなこと、するんですか?」
「理由か? 単純なことだ。世界平和が目的だ」
「そんな……」
「凡人には分かるまい。人は平気で裏切り、地球を破壊する。わたしが創り上げる怪人は決してそのようなことはないのだ」
「シャドウファイブのみんなは、人を裏切らないし、環境も大事にしています。そういう人も今、いっぱい増えています」
「ふんっ、そのシャドウファイブが裏切りの張本人だとしたら?」
「まさかっ! 絶対そんなことないです」
「お前には何もわかるまい。もうお喋りはここまでだ」
ブラックシャドウは立ち上がり、メンバーたちに近づいていく。ああ、もうだめなのかな。でも時間を稼いだおかげで私にも力が戻ってきた。ふらつくが何とか立ち上がれる。
「ま、待ちなさい! メンバーに何もさせません!」
ブラックシャドウの肩をつかもうと手を伸ばす。しかし、足がぐらつき転んでしまい、ブラックシャドウの黒衣のすそを引っ張った。
「きゃっ」
「うわっ!」
ドシンと倒れ込むとそこはブラックシャドウの胸の上だった。
「お前は、さっきからメンバーを助けようとしているのか。それともわたしを誘惑しようとしているのか」
「え、誘惑なんかしてません」
「このビッチめ」
「!」
「どうやってこのメンバー全員を垂らし込んだんだ」
「た、たらしこんだ?」
「普段から順番に寝ていたんだろう。この汚らわしい女め」
「ひ、ひどい……」
なんてひどい言われ方なんだろう。こんなに悲しい気持ちになったのは初めてだった。元カレに振られた時もここまで悲しい気分にならなかった。
「う、ふっ、ひっ、くっ」
「おい。なんだ一体」
「う、うううっ、う、あーーん、あーーん」
大人になって初めて子供のように声を上げて泣いた。身体もクタクタで、やる気もいきなりそがれ、傷ついた私はもう声を上げて泣くしかなかった。
「わ、悪かった。泣くな、くそっ、どうすれば」
ブラックシャドウはおろおろし始め、私をなだめようと必死に頭を撫でたり、涙を拭ったりするが、もうなんだかどうでもいい気分だった。
「うーん。ちょっと想定外だったかな。君を奪うために争うかと思ったんだが」
「シャドウファイブのみんなは、ハアハア、紳士です。そんなことしません!」
「クックック。紳士ねえ。イケメン面に騙されているだけじゃないのか? 女はすぐ見てくれに騙されるからな」
「!」
女を馬鹿にした。やっぱり許せないブラックシャドウ。
「そうですね。見てくれがいいのは内面もいいからだと思います。ハァハァ。あなたみたいに、女性を馬鹿にするような人たちではハァハァ、ありませんしね」
「ふんっ。こう見えてもわたしはフェミニストだ。君は助けてやろうかと思っていたのだがね。そろそろ身体が辛いのではないのかな?」
「はぁはぁ、ぜーんぜん大丈夫です!」
そう強がっては見たものの、身体が疼いてしょうがない。前回と違うのは精神面が身体の欲望に負けてしまわないことだ。
「クックック。まあいい。時間の問題だ。さてまず動けないシャドウファイブたちから怪人に改造してやるとするか」
まずい。このままではブラックシャドウに怪人にされてしまう。戦闘力のない私はどうすればいいのだろう。でも私しか戦えない。
「待ちなさい! 私が相手です! トウッ!」
とにかく気合を入れて勢いをつけジャンプし、ブラックシャドウの前に立ちはだかる。バトルスーツのおかげで乏しい運動神経の私でも、少しだけパワーアップされるのだ。
「ほう。わたしと戦おうというのかね」
ブラックシャドウは武器を持っていないし、怪人を作り、その怪人に戦わせるから、本人は非戦闘員と私は考えた。それならば、なんとかなるのではと思ったが、さてどうやって戦えばいいのか、どうしたら倒せるものなのか分からない。
「えーっと」
そうこうしているうちに、身体がますます疼き、ブラックシャドウが近づいてきた。
「クックックック。ほら、こうしてやろう」
「きゃっ!」
大きく尖ってツンツンになっていた敏感な乳首を両方、指先で撫でられた。スーツの上からなのに、甘い疼きを感じてしまった。
「そんな身体で何をしようと言うのかね? オナニーショーでもするというなら見てやっても構わないがね。クックック」
「くぅー。このセクハラ男っ!」
もう、頭にきた。こんなに腹の立つ男の人に初めて会った。今まで誰かに対してこんなに怒りを感じたことがなかった。
「シールドオン!」
ブィーンと鈍い音をさせバングルから出てきたシールドが大きくなる。手首にはめていたバングルを外し、手で握ってシールドをこぶしの上になる様に持つ。
「このぉー! この、この、この!」
私は緑丸さんのおじいさんから習っていた太極拳の打撃を、ブラックシャドウにお見舞いする。といってもまだまだ修行中なのでクリーンヒットは出ない。
「いってっ、何をする! この凶暴な女め! それでも大和なでしこか!」
「何を言ってるの? あなたこそ男らしくないじゃない!」
「ふんっ、生意気な女め。それは緑丸のじじいの技だろう」
「え? 緑丸って、今」
「はあっ!」
「きゃああっ!」
ブラックシャドウが両足と身体を開いたかと思うと、手のひらを私の胸に当て衝撃を与える。
「あぐうっ! う、く、うくっ」
なんだか苦しい。これってまさかおじいさんが言っていた発勁というものだろうか。
「これで身動きとれまい。ああ、さっきも言ったが、わたしはフェミニストだからどこも傷つけたりしていない。しばらく動けないだけだ」
「ううぅ」
倒れ込んだ私は立ち上がろうとしたが、足にも手にも力が入らない。感覚もあるし動かせるけど横たわって、にじるくらいしかできない。このままだとみんなが怪人にされてしまう。
メンバーたちはまだ熟睡中のようで、私たちの攻防の最中でも目を覚まさない。もう少し時間が欲しい。どうやって時間を稼げば……。
「ま、まって。ブラックシャドウ」
「んん? なんだ?」
「あの、もう身体が、疼いて、お願いどうにかしてください」
「クックク。自分で慰めてはどうかね?」
「手が、動かせなくて、だめなんです。もう、ほんとに、おかしくなりそう」
「ふんっ。まったく自業自得だというのに、女ってやつは手がかかる」
「フェミニスト、なんじゃ」
「まあ、そうだ。解毒剤をやるから待っていろ」
「ありがとうございます」
黒衣のポケットをカサカサまさぐり、小さな小瓶を取り出すと、ポンっと蓋を開け私の方に持ってくる。
「ほら」
「あ、あの、持てないです」
「ちっ」
ブラックっシャドウは面倒くさそうに、小瓶を私の口元にあてる。勿論、私は上手く飲めないふりをしてこぼす。
「だらしないやつだ。ちゃんと飲むんだ」
「あ、はい、すみません」
さすがに2本こぼしたので、3本目はちゃんと飲まないと、わざとだとばれてしまうだろう。これで30分以上時間を稼げたはず。
3本目の小瓶の蓋を開け、ブラックシャドウの方も今度こそ飲ませようと、私の頭を膝に乗せ、顔を固定した。そこで初めて彼の顔がはっきり見えた。
三日月眉に、あっさりとした真黒の瞳を濃いまつ毛が縁取っている。鼻筋は高く、口元はシャープだ。 シャドウファイブのメンバーに負けずとも劣らないイケメンだった。
なんでこんなにかっこいい人が悪いことするんだろう。普通正義の味方側なのではないだろうか。
「そうだ、ちゃんと飲め」
「ん、んん、うんっ」
「今度はちゃんと飲めたようだな」
少しだけこぼれた唇の端の液を、ブラックシャドウは親指で拭い、私の唇に擦り付ける。横暴な言動と裏腹に彼の態度や手付きは優しい。
本当はいい人なのではないだろうか。だって本当に悪人だったら、私をこんな風に優しく扱ったりしないと思う。
やろうと思えば暴力で私を痛めつけ、肉体を征服しようとすることだってできるだろう。
もしかしたら単純に私では、そんな気も起こさせないだけかもしれない。
「美味し……」
思わずブラックシャドウの親指に吸い付いてしまう。解毒剤は蜂蜜のように甘く美味しい。ここまで味付けする必要があるのかと思うほどだ。ブラックシャドウが私をじっと見ている。
もう催淫剤の効果は消えてくるはずなのに、また身体の奥が疼き始めていた。
「なぜ、こんなこと、するんですか?」
「理由か? 単純なことだ。世界平和が目的だ」
「そんな……」
「凡人には分かるまい。人は平気で裏切り、地球を破壊する。わたしが創り上げる怪人は決してそのようなことはないのだ」
「シャドウファイブのみんなは、人を裏切らないし、環境も大事にしています。そういう人も今、いっぱい増えています」
「ふんっ、そのシャドウファイブが裏切りの張本人だとしたら?」
「まさかっ! 絶対そんなことないです」
「お前には何もわかるまい。もうお喋りはここまでだ」
ブラックシャドウは立ち上がり、メンバーたちに近づいていく。ああ、もうだめなのかな。でも時間を稼いだおかげで私にも力が戻ってきた。ふらつくが何とか立ち上がれる。
「ま、待ちなさい! メンバーに何もさせません!」
ブラックシャドウの肩をつかもうと手を伸ばす。しかし、足がぐらつき転んでしまい、ブラックシャドウの黒衣のすそを引っ張った。
「きゃっ」
「うわっ!」
ドシンと倒れ込むとそこはブラックシャドウの胸の上だった。
「お前は、さっきからメンバーを助けようとしているのか。それともわたしを誘惑しようとしているのか」
「え、誘惑なんかしてません」
「このビッチめ」
「!」
「どうやってこのメンバー全員を垂らし込んだんだ」
「た、たらしこんだ?」
「普段から順番に寝ていたんだろう。この汚らわしい女め」
「ひ、ひどい……」
なんてひどい言われ方なんだろう。こんなに悲しい気持ちになったのは初めてだった。元カレに振られた時もここまで悲しい気分にならなかった。
「う、ふっ、ひっ、くっ」
「おい。なんだ一体」
「う、うううっ、う、あーーん、あーーん」
大人になって初めて子供のように声を上げて泣いた。身体もクタクタで、やる気もいきなりそがれ、傷ついた私はもう声を上げて泣くしかなかった。
「わ、悪かった。泣くな、くそっ、どうすれば」
ブラックシャドウはおろおろし始め、私をなだめようと必死に頭を撫でたり、涙を拭ったりするが、もうなんだかどうでもいい気分だった。