年の差契約婚~お別れするはずが、冷徹御曹司の愛が溢れて離してくれません~
「乾杯しましょう」
園城さんがそう促すと、お義母様はごきげんに頷いた。
それから地獄のような食事会はワイングラスが重なる音と共に幕を開けた。
「それで、沙織さん?跡取りはいつになるのかしら?私はね……気が短いのよ。子どもは早い方がいいわ。ねぇ?そう思うでしょう」
お義母さんのまくしたてるような言い方に、戸惑う私。
跡取りはって、私たちは今まで一度も身体を合わせたことなんてないのに……。
「今はまだ悟さんとの時間を大切にしたいといいますか……」
「そんなこと言ってたらあっという間に時間が経ってしまうものよ。あなたが出来ることなんて少ないのだから、それくらいは義母さんの要望に応えてくれてもいいんじゃなくって……」
出来ることは少ない、か……。
この食事会はいつもいつも私の心を針でチクチク刺されているような気持ちにさせられる。
それでも私はぐっとこらえて笑うんだ。
「そ、そうですね……」
何も言えない私にすっと園城さんが言葉を挟む。
「子どものことはちゃんと考えてる。自分たちのペースでゆっくり進んでいきたいんだ。分かってほしい」
「もう~悟がそう言うなら任せるけど」
園城さんの言葉にお義母さんは不服ながらも納得をしたようだった。