年の差契約婚~お別れするはずが、冷徹御曹司の愛が溢れて離してくれません~
それから2時間程度の食事会が続いた。
「それじゃあまた……」
「ええ、またお話ししましょうね、沙織さん」
お義母さんの陽気な声が頭に響く。食事会は頭がグラグラするほど、精神をすり減らした。
「すみません、少しお手洗いに」
お手洗いにかけこみ口をゆすぐ。お酒を飲み過ぎたわけでもないのに、なんだか気分が悪くなってしまった。
『子どものことはちゃんと考えてる』
園城さんの言葉がよみがえる。
ウソつき……。
私と話すらしていない癖に。
私は鏡に映る自分を見ながら、頬を手のひらで小さく叩いた。ダメ、しっかりしないと。
無理矢理笑顔を作ってトイレから出ていくと、園城さんがホテルの入口で待っていた。
私は慌てて彼のところに向かい、笑顔を作った。
「楽しいお食事会でしたね」
全てを押し殺し、笑顔を見せたのに、彼は一つ視線をこっちやると冷静に尋ねた。
「本当に楽しいと思っているのか?どうして母さんにあんなに言われておいて何も反論しないんだ?」
「えっ……」
どうして反論しないのかですって……。この人は一体何を言っているんだろう。