年の差契約婚~お別れするはずが、冷徹御曹司の愛が溢れて離してくれません~
私は驚いて目を見開く。
今まで父が私に声を荒げるようなことは無かった。
母が死に、一人で私を育て……私が反抗期で生意気な口を聞いても父は怒らなかった。
やっぱりお父さんにとっては、会社が大事で冴島家と園城財閥の関係が途切れることを嫌がっているんだろうか。
父の声に急に切なくなり、うつむいた。
「そういうことじゃないぞ、沙織。なぜ離婚したんだ?何か嫌なことをされたのか?」
「えっ」
ばっと顔をあげると、悲しそうな目をしている父の姿があった。
「父さんはな、少し後悔していたんだ。園城財閥から縁談の申し込みが来た時、お前は少し考えた後すぐに結婚すると答えを出しただろう?
自分が結婚したかったから、と言っていたが、あれは会社のためだったんじゃないかとずっと悩んでいたんだ」
「それは……」
実際はそうだった。
私が会社を守れたら、財閥の御曹司の元に嫁いだら、父は安心してくれるんじゃないかと思っていた。
「そうだったんだろう?父さんのせいだな……」
「そうじゃないよ!こういう形にはなってしまったけど結婚したことを後悔してるわけじゃないし」