年の差契約婚~お別れするはずが、冷徹御曹司の愛が溢れて離してくれません~


翌日。
朝目覚めてカーテンを開ける。いつもよりほんの少しだけ遅めに起きた日は、身体がスッキリしていた。

今日は月曜日。
有給を取ったため仕事は休みだ。

パーティーで使ったコートのクリーニングや土産品の整理、それから部屋の掃除を済ませてしまおう。

そう思い、コートのポケットを確認すると、何かが手に触れた。

「あれ……」

掴んでみてみると、それはネクタイピンであった。

これ、もしかして園城さんのネクタイピン……?

いつのタイミングで私のコートのポケットに入り込んだのだろう。

マズいな……もし大切なものだったらどうしよう。
大事な商談の場で頂き物をすることも多く、次会う時に付けていかないといけないものだったら、園城さんは困るはずだ。

どうしよう、郵送するのも時間がかかるし……。
私は家の時計を見つめる。
今日は一日休みだし……。

考えた末、届けに行くことにした。

どうせこの時間であれば園城さんは仕事でいない。
園城さんの住むマンションのポストに入れて後で連絡をすれば今日の夜には彼が受け取ることが出来るだろう。

コートのクリーニングに行く次いでにネクタイピンを封筒に入れ、園城さんの住むマンションに向かった。

ここから園城さんのマンションまでは電車で15分程度だ。

久しぶりに前住んでいたマンションにやってきて、懐かしさを感じる。

とはいえ他の住人に見られる前に早くポストに入れて帰ろう。
ポストを探し封筒を投函しようとした時。

──ドサッ。

どこからか人が倒れるような音が聞こえた。
異変を感じた私は音のした方へ向かう。

「……っ、」

すると、マンションの入口。
目に入った人を見て思わず声をあげた。

「園城さん!?」

園城さんは膝をつき、倒れている。

「園城さん……大丈夫ですか!」

私は慌てて彼に駆け寄っていく。

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