年の差契約婚~お別れするはずが、冷徹御曹司の愛が溢れて離してくれません~
園城さんの顔は白っぽくなっていた。
ちょうどマンションのオートロックを開けようとした際にバランスを崩したようだった。
「なんで、キミが……」
意識はある。
「救急車を呼びますか?」
私の問いかけに園城さんは首を振った。
「ただの貧血だ……大袈裟にしたくない。すまないが、家に入るのを手伝ってほしい」
私は頷くと急いで園城さんを肩に担ぎ渡された鍵を受け取って、マンションの中に入った。
コンシェルジュが驚いた顔をして心配してくるが、心配は要らないと断り彼を部屋に運ぶことを優先させた。
エレベーターに乗り込むと気分が和らいで来たのか園城さんは少しの支えで立っていられるようになった。
これは休まないとダメだ。
1週間前に婚約パーティの時もかなり痩せたと思ったけれど、こんなことになるまで放置してるなんて。
私は園城さんを支えながらエレベーターを降りると、部屋の鍵を開けた。
「歩けますか?」
「ああ……」
「入りますよ、段差気をつけてください」
久しぶりに入る前住んでいた家。部屋は何も変わっていなかった。
私が出た形跡のままだ。
「失礼します」
園城さんの寝室に入り、彼を横に寝かす。
「会社には連絡してありますか?」
「ああ、体調が悪くて早退して帰っていた途中だったから、大丈夫だ」
園城さんは呼吸が乱れていて、上を向き手でおでこを抑えている。
貧血と言っていたけれど、恐らく熱もあるだろう。