年の差契約婚~お別れするはずが、冷徹御曹司の愛が溢れて離してくれません~
手足は冷たく身体は熱い。
どれだけ無理をしたんだろう。
このまま放置したら死んでしまうんじゃないかと不安になった。
「少しだけここにいてもいいですか?」
園城さんに問いかけると、彼は弱々しい声で私に伝えた。
「ここに……いてくれ」
──ドキン。
彼の縋るような言葉に心臓が音を立てる。
それだけ苦しいんだろう。
園城さんの体調が安定するまで様子を見ていよう。
私は失礼しますと小さくつぶやき、冷蔵庫を開けて、ペットボトルのお水を取り出した。
冷蔵庫の中は水しか入っておらず、生活感が無い。
外で食べていたならいいんだけど、あんなに痩せて……とてもそんな風には見えない。
ペットボトルのキャップを開けて、園城さんに差し出すと「すまない」と苦しそうに受け取って水を飲んだ。
本当はスーツもシワになるので着替えさせてあげたいけど、そこまでするのはさすがに気が引けて出来なかった。
園城さんも今、起き上がれそうにない。
今はゆっくり眠るのが最善だ。
私は彼の枕元に部屋着と水を置くと、部屋を出て行った。