年の差契約婚~お別れするはずが、冷徹御曹司の愛が溢れて離してくれません~


そう言い聞かせるように言うが、ドキドキが止まらない。

なんで名前を……?
園城さん、一体どんな夢見てるの?

彼が今寝ていて良かった。
じゃなければ、この赤い顔の理由を説明出来なかったから。

園城さんの眉間の皺はいつの間にか無くなっていて、再び気持ちよさそうに小さく寝息を立てた。

まだ起きそうにない。
私は起こさないように寝室をそっと出ると、ドアの前に突っ立ったまま考えた。

身体を支えた時やせ細ったように見えた彼。これは、お節介かもしれないけれど……。

「よし」

私はキッチンに立った。
勝手に人のキッチンを借りるのは気が引けるけど、そのまま放って置いたら園城さんは体が回復しないまま、また会社に向かうだろう。

また倒れるよりはマシだ。

私は食材を買いに出掛け、彼におかゆを作ることにした。

結婚している時、私の手料理をほとんど彼が食べることは無かったけれど今回は無理やりにでも食べさせてやるんだから!

コンコンとノックをして、おかゆを持って中に入るとその香りで園城さんが目を覚ました。

「お腹空いてるかなって思いまして……勝手にキッチン使わせてもらったんですが、おかゆ、食べられますか?」

園城さんはまだまだぼーっとしながら私を見つめ、「ああ」と短い言葉で返事をした。

< 120 / 224 >

この作品をシェア

pagetop