年の差契約婚~お別れするはずが、冷徹御曹司の愛が溢れて離してくれません~


「迷惑なんてことはありません。今日はたまたま休みでしたし……」
「そういえば、キミはなぜここにいたんだ?」
「あっ!」

私はすっかり忘れていたネクタイピンの存在を思い出し、カバンから封筒ごと持ってきた。
封筒からネクタイピンを取り出し園城さんに渡す。

「これ、先日のパーティの時に落ちたのかもしれません。私のポケットに入っていて……」

「どこかに落としたかと思っていたが、キミのところにあったのか」
「すぐに使うものだったら困るかなと思って、ポストに入れて帰ろうと……そしたら園城さんが倒れているのを見つけたんです」
「そういうことか、律儀にありがとう。わざわざすまなかった」

反応からするにすぐに使うようなものでは無かったらしい。でもこうして来たことで彼が倒れているのを見つけられたのだから良かったと思うべきか。

ちらりと時計に目線をやる。
時刻はもう17時を指している。
随分長居してしまった。

「このお皿洗って、キッチン片付けたら私は帰りますね」

彼も私がいない方がゆっくり休まるだろう。

「いや、そこまではいい。置いておいてくれ」

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