年の差契約婚~お別れするはずが、冷徹御曹司の愛が溢れて離してくれません~
そうは言っても病人の園城さんにやらせるわけにはいかない。
「部屋を出るついでですから」
私はお皿を片付けようと手を伸ばした時、園城さんはぽつりとつぶやいた。
「あれから、キミのことばかり考えていた」
立ち止まり、顔をあげる。少しうつむきがちに、でも真剣な顔で話す彼。
「キミと話したことを思い出しては、また我に返って……もう会えないのだろうなと考えると余計にキミの顔が頭から消えなくなった」
「え、園城さん何を言って……」
まるでプロポーズでもするみたいな言葉に私は顔を赤く染めた。
当然そういうつもりで言っているわけじゃないことは分かっているのに、あまりにも直球すぎて戸惑ってしまう。
「どうすれば後悔せずに済んだのか、考えてももう遅いことは分かってる。それでもずっと、考えていた」
今日の園城さん、どうしちゃったの?
まるで離婚したことを後悔しているような口ぶりにも聞こえる。
もしかして熱のせいで変なことを口走ってる?
「な、何言ってるんですか!園城さんらしくないですよ。熱で身体が弱っていると誰かを頼りたくなる気持ちは分かりますが……」