年の差契約婚~お別れするはずが、冷徹御曹司の愛が溢れて離してくれません~
ア、アプローチ!?
「なんで園城さんが私にアプローチなんてする必要があるんですか!」
アプローチも何も私たちの関係は終わっている。
「俺にもチャンスが欲しい」
至極真面目に私の瞳を見てそう告げる園城さん。
彼の表情を見ていると、とてもふざけているようには見えない。
熱で頭が回っていないのかもと思ったけれど、言葉尻もハッキリしていて、それから緊張感も伝わってくる。
園城さんは何を考えているの?
何でアプローチなんて、今更そんなこと……。
頭の中でぐるぐる考えていると、子犬のように眉尻を下げた彼が不安気に尋ねてくる。
「迷惑だろうか?」
不覚にも心臓がキュンっと音を立てる。
今はキュンじゃないのよ。
そんな顔で尋ねられたら、性格上断ることも出来なくて、私は反射的に答えてしまった。
「迷惑ってわけじゃ……」
「良かった」
彼は安心したように笑みを見せた。
ああ、今絶対におかしな選択をした。
前に進むって決めたのに、こんなのおかしい。
でも……。
心臓が期待するようにドキン、ドキンと音を立てている。