年の差契約婚~お別れするはずが、冷徹御曹司の愛が溢れて離してくれません~
朝。
カーテンから差し込む光で目が覚めた。
目を開けると、隣には園城さんが私を抱きしめるように眠っていて幸せな気持ちになる。
しかし同時に不安もあった。
もし目が覚めて前の時のように「覚えてない」と言われたら。
彼も酔いは覚めてるとは言っていたけれど、お酒は飲んでいたし……。
あの時の「覚えていない」は嘘であったと知っていつつも不安になってしまう。
じっと彼の顔を見つめていた時、彼が「ん……」と声をあげながら目を開けた。
不安で硬直する身体。
おはようと言いたいのに声が出ない。
すると、彼はいち早く私の状況を理解したのか、優しく笑った。
「おはよう、沙織」
「園城さん……」
穏やかに笑い、それから寒いと言って私をぎゅっと抱き寄せてくる。
「忘れてなくて、良かった」
ポツリとつぶやくと彼は不服な顔をして言う。
「忘れるものか。キミが気持ちよさそうに何度も……」
「うわあああっ!やめてください」
園城さんは私の背中でくすくす笑った。