年の差契約婚~お別れするはずが、冷徹御曹司の愛が溢れて離してくれません~
ドクン、ドクンと心臓の音が早くなる。
園城さんは立ち上がると、リビングにある書類を入れる引き出しを開けてある紙を出してきた。
「これ……」
差し出されたのは私たちがサインまでした離婚届けであった。
「実は……まだ出していなかったんだ」
そう、だったんだ……。
園城さんは出したらすぐ連絡すると言っていたから、一向に連絡が来ないことになんとなく勘づいてはいた。
きっと忙しかったのだろう。
私たちが離婚する日のまま、書類はキレイに残っていた。
「すまなかった」
「いえ……」
「園城さんもかなりお忙しそうでしたし……」
「いや、これに関しては本来早くやらないといけないことだった。俺が……キミを吹っ切ることが出来ず、いつまでもここに……」
「そうだったんですね……」
離婚届けを出していなかったということは、書類上は私たちは夫婦のままであるということ。
別居していようが、分かれていようが形式的には夫婦であることは変わらない。
「俺の気持ちだが……」
彼にそう切り出され、私は恐る恐る顔を上げた。
「破棄したいと思ってる」
破きたいということは、この離婚を元々無かったことにするということ。