年の差契約婚~お別れするはずが、冷徹御曹司の愛が溢れて離してくれません~


園城さんと別れてから3日が経った。
連絡は常に取り合っていて、今日も仕事に行く前に「行ってらっしゃい」とメッセージを送ったばかりだ。

彼との一夜があり、時々思い出しては顔を赤くしたり、会いたくなったりしたけれど今は仕事も忙しいタイミングで対応に追われている。

引っ越しや、仕事のこと、周りへの報告。考えることはたくさんあるけれど、目の前のことを一つずつこなしていこう。

園城さんも焦る必要はないと言っていたし……。

仕事を終えクタクタになって家に帰宅する。
一人でご飯を食べている時、突然スマホが鳴った。
ディスプレイには【園城さん】と表示されていた。

慌てて箸をおくと、私は電話に出た。

「もしもし」
「沙織、お疲れ様」

園城さんの声を聞くとなんだか疲れていた身体も楽になってくるから不思議だ。

「どうしたんですか?何か用事が?」

私が尋ねると、彼は歯切れの悪い返事をした。

「ああ、いや、その……声が聞きたかった」

心臓の奥がキュンと収縮したのが分かった。


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