年の差契約婚~お別れするはずが、冷徹御曹司の愛が溢れて離してくれません~






それから私は冷静になり、この先のことを考えた。

園城さんが自分に歩み寄ろうとすることはない。
愛の無い生活に、決められた暮らし、会話の無い結婚生活。

ここにいる限り一生これを続けていく覚悟があるのか。
ううん、無理だ。だって私は愛される喜びを知ってしまったのだから。

一瞬だけだったけれど、確かに彼から言われた『愛してる』という言葉に喜びを感じてしまった。

そして、これからも愛されたいと思ってしまったの。

だからもう、一生愛の無い暮らしを続けていくことは出来ない。


覚悟を決めたら決断は早かった。

私はすぐに家を出ると、役所に行き離婚届けを貰ってきた。
自分のどこにそんな勇気があったんだと、嘲笑う。

でも決めたらすぐに行動するところは、昔から変わっていない。

私は離婚届に名前を書きながら、思い返していた。

たった3か月だけの夫婦だった。
政略結婚だって私は別に良かった。

そこから関係を築くことが出来れば、愛が生まれると思っていたから。

でも私たちの結婚生活はいつまでも平行線のまま、交わることはない。




< 22 / 224 >

この作品をシェア

pagetop