年の差契約婚~お別れするはずが、冷徹御曹司の愛が溢れて離してくれません~
一緒にいるのに、いつまでも愛されず、愛すことが出来ないのはすごく苦しいことだから。
私は震える手でしっかりと名前を書き、サインをした。
後は園城さんに書いてもらい、出すだけだ。
離婚を突きつけた先のことを考えると、億劫になってしまうから出来るだけ考えないようにしていた。
でも、冷静になると勢いで行動しすぎてしまったかもしれない。
父の会社はどうしよう……。
離婚したら当然援助は打ち切られ、存続が危ぶまれることになる。
それから園城家は?
園城家の名前を汚したことに、お義母さんは黙っていないだろう。
次々と出てくる問題に決心が揺らぐ。
しかし私は首を振った。
一生の人生でこれから起きる問題なんて大したことない。
それが嫌でずっと囚われた生活を送る方が不幸だ。
私はこれから愛される生活がしたいの。
園城さんが用意してくれた20カラットのダイヤの指輪を外しテーブルに置いた。
キラキラと光る大きなダイヤの指輪を貰っても嬉しく無かった。
大きく主張したダイヤが私たちの仮面夫婦を演じるアイテムみたいで嫌だったからだ。
指輪を外すとほんの少しだけ肩の荷が降りた。