年の差契約婚~お別れするはずが、冷徹御曹司の愛が溢れて離してくれません~
正直、園城財閥の支援がなくなって、これからどうしようと思っていたからほっとした。
でも、去っていく女にこんなに都合のいいようにしてくれるのは少し気が引ける。
書類を書き終えると、今度は事務的な話をした。
具体的にいつくらい家を出る予定なのか、報告はどうするか?共通の資産の話など。
共通資産と言ってもほとんどが園城さんのものなので、私は受け取る権利を全て放棄した。
全て話終えると、1時間が経っていた。
これで深い話をすることはもう無いだろう。
お互いに話を切り上げようとしていた時、私は最後に一つだけ訪ねた。
「今更聞くことではないんですが、どうして私を結婚相手に選んだんですか?」
今でも分かっていない。
園城さんなら、もっと大きい会社の娘さんを嫁にもらうことも出来たはず。
もっと綺麗で、もっと園城さんの一歩後ろを歩く人だっているはずだ。
私の言葉に園城さんは、困ったように眉をひそめた。
「どうしてって別に……決まってるだろ」
決まってる。
それは、私が主張しないでついて来る相手だと思ったから。
この結婚生活に愛は無い。それはこれから先も。