年の差契約婚~お別れするはずが、冷徹御曹司の愛が溢れて離してくれません~


家を出てからその5時間後──。

幸せの第一歩を踏み出したと、息を巻いていたら事件が起きた。

私は今、マンションの階段に横たわり、天井を見つめている状態。

足は動かせず、ただ声を上げるしかなかった。


「だ、誰かぁ~助けてください!」


なぜこんなことになったかというと、段ボールから荷物を出し終えた頃、お腹が空いて何かを買いに行こうと外に出た。

エレベータがあるにも関わらず、なんだかその日は歩きたくなって階段でスキップしながら降りた瞬間、私は足を踏み外し、階段から転落してしまった。

なんともみっともなくて恥ずかしい。

スマホを手に持っていたせいで、転倒と同時にどこかに落としてしまい、今、足が痛くて動けない。

「だ、誰かー!」

天井を見上げて私は情けなくなった。

「何やってるんだろう……」

これが新しい一歩?
だとしたら不安しかない。

勝手に離婚を決めて振り回した私にバチが当たったんだろうか。

「私はただ幸せになりたいだけなのにー!」

ただ横たわって独り嘆いていると、ようやくマンションの住人が私に気づいて声をかけてくれた。

「あのぅ、大丈夫ですか?」

「た、助けてください……」

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