年の差契約婚~お別れするはずが、冷徹御曹司の愛が溢れて離してくれません~


ウソ……。
訪ねたら留守だったため、待たれるのも嫌だろうと思って、花だけを置いてすぐに帰ったらしい。

「そうだったんですね……ありがとうございます」


忙しい中、花を渡すためにもう一度病院に来ていたのも驚きだが、私の好きな花をセレクトしてくれたことにも更に驚いた。

「薔薇とひまわり、すごく好きな花なんです」

「ああ。言ってたろ、好きだと」
「えっ」

そんなこと私、いつ言った?
園城さんは私の表情を読み取ったのか、淡々とした口調で告げる。

「両家顔合わせの時、料亭に飾ってある花を見て言っていた」

それってだいぶ初期のことじゃ……。

確かに園城さんと顔合わせの際に行った料亭には大きな花瓶の中に色鮮やかな花が飾られていて、そんなような言ったような気もするけど……私でも忘れていたことを覚えていてくれたなんて驚きだ。

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