年の差契約婚~お別れするはずが、冷徹御曹司の愛が溢れて離してくれません~
あれから1カ月が経った。
私は仕事先を探し、大手通信会社の事務をさせてもらえることになった。
結婚前、父の会社で3年ほど経理を担当していたこともあり、最初は同じ仕事内容の方が安心だと、そこに社員として入社した。
一人で暮らす生活は案外早く慣れ、仕事も不自由なくこなせるようになってきた。
クタクタになるまで働いて、真っ暗の部屋に帰って来て自炊をせずに買ったものを食べる生活もなんだかんだ好きだ。
今日も同じように買って来たお弁当を電子レンジで温めていると、突然大学からの友達、朋絵から電話がかかってきた。
『どう?結婚生活楽しんでる?』
第一声を聞いた時にはっとした。
そういえば離婚したこと誰にも言っていないんだった……。
この1ヶ月、新しい生活に馴染むのに必死で誰とも連絡を取っていなかった。
父からも会おうと連絡が来ていたが、今は園城さんが忙しいから支えたいと嘘をついて断ってしまった。
言いにくいことを先延ばしにする癖はいつもよくないと思いつつもこの有様だ。