年の差契約婚~お別れするはずが、冷徹御曹司の愛が溢れて離してくれません~
こういう人と結婚したら、きっと笑いの絶えない明るい家庭になるんだろうな。
そんなことをぼんやりと想像していると、空いていた私たちの隣の席に人が入ってきた。
「こちらの席になります」
店員さんに案内されたその人に何気なく視線をやると、一瞬呼吸が止まった。
「……っ」
「お洒落なカフェですね」
「ここのコーヒーが美味しいんです」
ウソでしょ、なんで……。
なんでここに園城さんがいるの。
バクン、バクン、と心臓が音を立てる。バレないように私は顔を伏せた。
「それでさ、〜〜があって」
朝日くんが話している間も隣の席が気になってしまう。
向かいに座っている女性は彼女だろうか?
とても綺麗な人で園城さんと並んでいても、なんの遜色もない。
いずれ結婚とかするのかな……。
やっぱり園城さんはすぐに相手が出来るよね。
元々選び放題の彼だったのだから、私と離婚して自由になったら、すぐに他の女性が寄ってくるに違いない。
「沙織ちゃん、大丈夫?」
「あっ、うん……大丈夫」
園城さんはまだ私に気づいていない。
気づかれてない今、カフェを出よう。