年の差契約婚~お別れするはずが、冷徹御曹司の愛が溢れて離してくれません~
「あ、園城さん。おカバンお預かりします」
「必要ない」
ピシャリと言い放たれた言葉に私は落ち込んだ。
何事も気づくのが遅くて園城さんの役に立つことが出来ない。
園城さんは、寝室に向かうとスーツのボタンを一つずつ外しながら、私に言った。
「そういえば、今週の日曜日。母が帝塔ホテルで会食をしようと言ってきた。開けておいてくれ」
「はい、分かりました……」
お義母さんとの会食。嫌だな……。
お義母さんは私のことを明らかに気に入っていなかった。
本当は園城さんと結婚してほしいと思っていた許嫁がいたらしい。
それなのに突然私が縁談相手に決まり、最初はどうにか破談させようと必死だった。
だから結婚した今でも私のことを目の敵にして嫌味を言い放題。その嫌味が言いたいがために私との会食の日を月に3回は取り付けてくる。
憂鬱だ……。
「お前はもう寝ろ」
部屋着に着替えた園城さんは、私をすり抜けてすぐにお風呂場へ向かってしまった。