年の差契約婚~お別れするはずが、冷徹御曹司の愛が溢れて離してくれません~
それを見ていると、今まで我慢していた気持ちが報われるみたいだった。
我慢なんてもうしない。
「沙織」
すると後ろから低い声で呼ばれ、ビクっと身体を震わせる。
受付を終えた園城さんが戻ってきた。
今のやり取りを明らかに聞いていたみたいな顔をしている。
私の言動を聞いて園城さんは引いた?
こんなやつだったんだって、呆れたかもしれない。
私は唇を噛み締める。
でも、そう思われたっていい。
「悟、聞いた?この子ったら私が嫌がることをわざと言ってきたのよ」
息子に縋るように媚びた声を出す。
嫌がることを言ってきたのは、どっちだか……。
呆れ顔でお義母さんを見ていると、彼は私の横に立って言った。
「このドレスは僕が選んだんだ。とても似合ってるよ、沙織。母さんもそう思うだろう?」
園城さん……?
てっきり2人から責められるのかと思っていたら、園城さんは私を庇うようにお義母さんに問いかけた。
お義母さんは息子という盾を失い、何も言えなくなったのか、「そ、そうね」と言葉を返すと逃げるようにパーティー会場の中に入っていった。