年の差契約婚~お別れするはずが、冷徹御曹司の愛が溢れて離してくれません~


その時は園城さんが自分があまり好きではないからと庇ってくれたんだっけ。

本当は園城さんは結婚式に対してどう思ってたんだろう……。

私はもし、今後幸せな結婚が出来るのなら式は挙げてみたいと思う。元々式を挙げることに否定的だったのではなく、憧れがあった。

愛する人と一生に一度の素敵な思い出が作れる日だから。

真剣に友人のスピーチを聞いている彼を横目で見る。

あの時のことなんて考えても仕方ないのに、こういう場はどうしても自分と重ねてしまう。

一通り関係者のスピーチが終わると、テレビで見たことのあるような人や、有名な映画の監督まで、みな園城さんのところにやって来て挨拶をする。

入れ替わり立ち替わり、会話を交わしては頭を下げて笑顔を作る。離婚する前は週に1回のペースでなんらかのパーティーやレセプションが開かれていたので、大丈夫だと思っていたけど、久しぶりでちょっと疲れてきた……。

こういうのはやっぱり慣れなのね。

私は隣で笑って相槌を打っているだけだけど、園城さんは喋りっぱなしだ。

< 79 / 224 >

この作品をシェア

pagetop