年の差契約婚~お別れするはずが、冷徹御曹司の愛が溢れて離してくれません~
一度人の列が離れたタイミングで私はウエイターに温かいお茶を2人分頼んだ。
会場は温かく設定されてるとはいえ、手足足先が冷えてくる。
「園城さん、お茶飲んでくださいね」
私が彼の元に差し出すと、「すまない」と言ってそれを受け取った。
彼はお茶を口に含んだ後、ほぅっと息を吐く。
疲れてないですか?そう聞こうと思った時、先に園城さんが口を開いた。
「疲れてないか?」
「はい、大丈夫ですよ」
疲れたというと気を遣わせるだろうと思って、私は笑顔を作る。しかし、園城さんは私からふいっと目を逸らした。
「適宜休んで貰っていい。俺はもう少し話したい相手がいるので会場を周ってくる」
「あっ、では私も……」
「大丈夫だ」
ピシャリと言い放たれた時、昔の寂しさが心をよぎった。
もう、関係ないのに。
必要とされていないことの虚しさにいつまでも寂しい気持ちになってしまうのはなぜだろう。
「では、少し外に出ていますね」
「分かった」
私はすぐに引き下がり、賑やかな会場を後にした。
ホテル会場を出るとすぐ目の前に大きな広場がある。今日は肌寒く貸し切りということもあってか、外に出る人は誰もいなかった。