年の差契約婚~お別れするはずが、冷徹御曹司の愛が溢れて離してくれません~
日曜日。
お義母様との会食の日がやってきた。
事前に用意されたドレスを着て、帝塔ホテルの63階に向かう。
煌びやかな内装に天井には堂々としたシャンデリアが輝く。
ここに来るたびに私は自分だけ浮いていないか、心配になってしまう。
ホテルのコンシェルジュが目の前の大きな扉を開けてくれた。結婚式の会場くらいありそうな広い部屋の真ん中に私たちが座る机とイスが用意されている。もちろん貸切だ。
お義母様は先にきて赤ワインを嗜んでいた。
「あら、沙織さん……そのドレスうちのやつかしら?」
「あ、はい……悟さんに選んでいただきました」
このドレスはお義母様がブランドを立ち上げたドレスだ。派手な真っ赤なドレスに主張するように散りばめられた花の柄。お義母様との食事ではお義母様がプロデュースする服を着ていくのが暗黙の了解だ。
「ふふっ、ようやくうちのドレスが似合って来たんじゃないかしら?」
「ありがとうございます」
私は頭を下げてお礼を言う。
初めてこのドレスを着た時は悟さんのいないところで似合ってないとか、ドレスのレベルが下がるとかよく言われたものだ。