年の差契約婚~お別れするはずが、冷徹御曹司の愛が溢れて離してくれません~
「気に入ったら持って帰るといい。今日のお礼だと思ってくれ」
「い、いえ……そんなことできません」
何百万もするドレスをいただくなんてさすがに出来ない。
「まあ、前の旦那に貰っても嬉しく無いか」
園城さんは自らを嘲笑うように笑った。
「でも……今日はすごく園城さんと自然体でいられた気がします。初めてこのパーティーが楽しいって思えました」
「そうか」
園城さんが答えたのはそれだけだった。
でも彼の口角はほんの少し上がっているように見えた。
それからタクシー乗り場にタクシーがやってきて、私は頭を下げた。
「今日はありがとうございました」
「こちらこそありがとう。元気でな」
──ドキン。
元気でなという言葉にひどく寂しさを覚えてしまった。
離れる道を選んだのは、私自身なのに。
……変なの。