年の差契約婚~お別れするはずが、冷徹御曹司の愛が溢れて離してくれません~
彼女と出会ったのは今から2年前。
俺が父親の会社を継ぎ、少し経った頃のことだった。
商談として、汗水流して全国各地を周り、営業先を増やす活動をしていった。正直そこまでしなくても、現状何の問題も無かったのだが、それでは父の引いた道を歩くだけになると思い、小さな会社にも目を付けるようになった。
将来的には国内シェアだけに留まらず海外にも目を向けている。
そのためには父と同じことをしていては駄目だと思った。
俺は生まれてから自分の進む道が決められていた。自由は無く、与えられたものを一生懸命取り組むことがよいとされていて、自分の意見が通ることはほとんどない。
そんな特殊な環境に産まれたためか、幼い頃から夢や憧れというものを捨てるようになった。
恋人とも適当に適度な付き合いをし、その中で恋愛感情が生まれることは一切なかった。
どうせ親が決めた許嫁と結婚することになるだろう。
そう考えたら恋愛なんかに時間を使うのはバカバカしいと思った。
周りにバカにされない程度に付き合いを重ね、関係が深くなる前に切る。
そんな何も生まない関係を繰り返していた。