クールな御曹司との契約結婚は、初夜から愛と熱情に満ち溢れていました
 七海が意図をくみ取ってくれたかはわからなかったが、隣に座ると言ってくれた時は間違いなくうれしさで心拍数が上がったと思う。

 数時間のフライトを彼女が寝て過ごしても構わなかった。住居を移してからも寝室は別だったから、寝顔を見られて純粋にうれしかったのだ。

 勝手に寝顔を堪能したなんて、彼女に知られたら嫌われてしまうだろうが。

「本当にかわいい」

 ぽつりとこぼれ出たつぶやきは彼女に届かない。

「ありがとうと言ってもらえてうれしかった。俺と一緒に過ごしたいと言ってくれたのも」

 シーツに投げ出された手に自分の手を重ね、握ってみる。

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