クールな御曹司との契約結婚は、初夜から愛と熱情に満ち溢れていました
 友人や同僚たちの連絡先が並ぶ中、とある名前が目に留まった。

 高校時代から付き合いのある友人、柳(やなぎ)若菜(わかな)だ。社会人になった今も半年に一度くらいは会ってお茶をしている。

 私の事をよく知る彼女なら、なにかいい助言をくれるかもしれない。

 思い立ったら吉日とばかりに電話をかける。

『はーい、もしもし? いきなりどうしたの?』

 若菜の声を聞いた瞬間、ほっとして涙が滲んだ。

 非日常が続いていたから、日常を感じさせる彼女の声に安心したのだろう。

『あれ? 七海? もしもーし?』

「あっ、ごめん。なんかじーんとしちゃって」

< 110 / 250 >

この作品をシェア

pagetop