クールな御曹司との契約結婚は、初夜から愛と熱情に満ち溢れていました
 男性はかなり困っているように見えた。

 カードケースと言うからには、もしかしたらクレジットカードなどの類も一緒に紛失したのかもしれない。

 そんな心細い思いをしている時に、同郷の人間を見たらほっとするだろう。私が若菜の声を聞いて安心したように、彼も私と日本語で話せて安堵しているようだった。

「よかったら探すのを手伝いますよ」

 困っている人は放っておけなくて、肩を落としている男性に申し出る。

「えっ、でも申し訳ないです……」

「どうせ今日はほかにする事もなかったんです。だから気にしないでください」

「じゃあ、お言葉に甘えて。俺は安藤って言います。あなたは?」

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