クールな御曹司との契約結婚は、初夜から愛と熱情に満ち溢れていました
 カウンターやテーブルには金魚鉢に似たガラスの器が置いてあり、水が張られたその中には火のついたろうそくが浮かんでいた。おかげで手もとが暗くて見えないという事にはならない。

「船のクルーのもとにも届いていないようですし、誰かが間違えて拾ったのかもしれませんね」

 安藤さんは半日以上付き合わせたお詫びとお礼に、私をバーへ招待した。

 丁寧に断るも、どうしてもと乞われて一杯だけご馳走になる。注文したのはノンアルコールのカクテルだ。

 一応既婚者だし、透哉さん以外の男性とアルコールを楽しむのはよろしくない気がして。

 安藤さんはビアカクテルを頼むと、私の言葉を聞いて首を左右に振った。

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